会談
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なると試したことはない」
「コピーの方の結果は?」
コーヒーを一口飲んで唇を湿らせると菊岡の顔をぼんやりと見る
「全敗だね。僕も含め、数人の同僚も試したんだけど、自身がコピーであるということを自覚することができず、あっさりと自我を崩壊させていったよ」
「……だから移入の結果はわからないと言ったのか」
「ああ、その通り」
コピーは現実側と非現実側にわかれてしまうため、必ず非現実側の方は偽物であるということになってしまう
詳しい理念は不明だが、偽物と自覚すると消滅してしまうらしい
「まるで、ドッペルゲンガー現象みたいだな」
「そう、まさにそれだよ! ただ、ドッペルゲンガー現象よりも質が悪く、自分と同じ存在がいると思い込んだ時点で死んでしまうけどね」
世界には自分と同じ顔の存在が三人はいるという。オカルトの類いは興味がないが、実際にこのコピー人格の自我消失現象を聞くとあながち嘘ではない気がして来る
「移入した場合の人格の安定化。それに成功する確率は?」
「……三割あれば良いほうだと思うよ? やったことのない試みだから経験からいって、ね」
生存確率ゼロからみればたいした進歩だが、俺は分の悪い賭けは好きではない
「背に腹は変えられない……か……」
「それに、これは政府主導のプロジェクト。個人に対して使用されるなんてありえない」
「何事にも裏口というものが存在するだろう」
「……はぁ、わかった。他ならぬ君の頼みだ。引き受けるよ」
これで第一関門はクリアか
「すまん、恩に着る」
「いやぁ、初めて燐君から礼を言われたんだ。感動も一入、といったところかな。そういえば、本人に許可はとらなくてもいいのかい?」
「全て任せるって言われたからな」
しかもよい笑顔で
なぜ、あそこまで手放しで俺を信頼できるのか……
シノンといいユウキといい、こんな俺のどこがいいんだか
「へぇ、なかなか豪胆な子だね。なら問題ないかな」
「ああ。俺はその信頼に応えなければいけない。信頼を受ける際の義務だと思っているからな」
「……だからモテるんだよ……」
菊岡がなにやらつぶやいているが聞かなかったことにする
一息つくと少し冷めてきたコーヒーを一口飲む
「それより細部を詰めようか」
「……うん、そうだね、それがいい」
ブツブツ呟いていた菊岡さんも同調し、ようやくユウキを救うための計画を練りはじめた
「とりあえず、ユウキはどのような位置付けになるんだ?」
「建前上はテストプレイヤー、という形になるだろうね。もっとも、これは軍事機密だしテストプレイヤーになると外部との接触は制限される」
最低でも監視がつくことになるだろう
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