会談
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
冬の日のとある休日、俺はとある喫茶店でコーヒーを飲みながらパソコンを叩いていた
「……ガードが固いな」
「ちょっと待っててくださいね、にぃ」
やってることはハッキングである
とは言え、俺自身のハッキングの腕はそこそこしかないので目標のファイヤーウォールを破るには技術が足りない
故にユイに援助を頼んで今に至る
「突破しました! 調べ物はなるべく早くしてくださいね」
「ああ、助かった」
ユイに礼を言いつつパソコンに表示されている文面に目を走らせる
しばらくの間、辺りに沈黙の帳が降りた
「っ……にぃ、これ以上は無理です!」
「わかった、離脱する」
即座にインターネットから離脱する
まあ、なんとか札は集まったか
「ふぅ……」
「にぃ、お疲れ様でした」
「ユイ、サポートありがとう」
パソコンから目を離し、背もたれに体重をかけて天井を見上げる
慣れているとはいえ、あそこまで集中力を高めると精神的にくるものがある
それが犯罪ともなれば尚更である
「……待ち合わせの時間は午後四時頃だったか?」
「はい、合ってます」
今の時刻は午後三時半を少し回ったところ
残り時間は約三十分
コーヒーを追加で頼みつつ、ユイとたわいもない世間話で時間を潰していると、ようやく待ち人が姿を現した
「いやぁ、まさか燐君の方からお茶に誘ってもらえるとは思わなかったよ」
「呼んだ理由はわかってるんだろ?」
俺がそう言うと待ち人、菊岡誠次郎は人を食ったような笑みを引っ込め、珍しく真剣な表情を浮かべた
「もちろん……でも、不可能だと思うよ? 彼女については一通り調べているならわかると思うけど」
「後天性免疫不全症候群、その末期か」
「今だ治療法が確率されていない病気。末期じゃなければまだ打つ手は残ってると思うけど、日和見まで行ったら……ね」
進行を止める方法はあるが、治療法は未だに確率されていない
つまりユウキはもう手遅れとも言える
そう肉体は
「ライトキューブ」
「……どこでその名前を」
目の前にあるパソコンを指で指すと理解したのか菊岡は苦笑いを浮かべた
「対策はしてあったんだが……自己意識のある電子信号は想定外だったよ。本当に……うちに欲しいなぁ」
「故、茅場博士に言ってくれ」
「苦笑いしか出ないね。さてと、僕としてはこのまま楽しく世間話をしていたいんだけど……そうはいかないよね」
菊岡は店員に紅茶とケーキを頼むとこちらに向き直った
「単刀直入に聞こう。ライトキューブへの意識の移入は可能か否か」
「わからない、とそう答えておこうかな。ライトキューブへの意識のコピーは試したことがあるが移入と
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ