第十三話 〜大将着陣〜
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では、私は豪帯様の護衛の任がありますのでこれで。豪帯様、行きましょうか』
『え?あ、う、うん...』
そう言うと凱雲は帯の手を引いてそそくさと洋循様の隣を擦り抜けようとする。
...何とか帯を巻きこまずに済んだ。
そう安堵した。
『...待たれよ』
『...』
だが、洋循様はそれを許してはくれなかった。
帯の手を引いていた凱雲は洋循様の若干後ろで背中合わせのような状況で静止した。
距離はそんなに離れていない。
『...何でございましょうか』
凱雲が若干警戒混じりに反応する。
『いやなに、子供の育て方にも色々あるなと思いましてな』
『...?』
子供の...育て方?
『私は自分の息子には早い段階から色々な経験をさせてやりたくて、たとえそれが少々危険であってもやらせる、獅子の子落としを参考にした様な教育方針でしてな』
なんだ?
何が言いたい?
私はおろか、凱雲もその洋循様の言葉の意図が読めずに困惑していた。
『それに比べて豪統殿は随分と子を大切に育てる方針のようで』
『は、はぁ...』
『いや、別にそれが悪いと言う意味で申しているわけではないぞ?ただ...』
そこで何故か視線を後方の...帯の方へ落とした。
嫌な予感が過る。
『それがこの先の経験の差になるのだなと』
そう、わざとらしく吐き捨てた。
しかし、ただそれだけだった。
そうだとも。
本来ならただそれだけだったはずだった。
『...僕だって一緒に戦いたいよ』
帯がたった一言ぽつりと呟いた。
そしてその一言に洋循様は口元をいやらしく歪ませた。
『ッ!?』
そこでやっと私と凱雲は気付いた。
このやり取りがただの嫌味では無い事に。
『豪帯様、行きましょう...』
『え、う、うん...』
凱雲が半ば無理矢理に帯の手を引こうとする。
それにつられて空気を察した帯がその場を離れようとする。
『まぁ待て待て...ッ!』
『ッ!?』
しかし帯の空いた腕を洋循様が馬に乗ったまま器用に捕まえる。
それにより二人はその場から動けなくなる。
『お主、確か豪帯と言ったな?』
洋循様が帯に声をかける。
それはもう目をギラギラと光らせながら。
『洋循様、我々は急ぎますゆえにこれにて...』
『洋循様!私からも今後の事について急ぎ確認したい事がございますのでこちらへ!』
それでも尚無理矢理に帯を洋循様から離そうと凱雲と私で試みる。
『貴様ら!!』
がしかし、洋循様の一喝が辺りに響く。
『たかが一武官の分際で出過ぎた真似をするな!私は今貴様らではなくこやつに話しておるのだ!』
『...ッ!』
私達
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