第十三話 〜大将着陣〜
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由を考えれば何という事は無かった。
先日の事件の事や、その後どんな状況になっているのかは目を覚まして父さんと喧嘩する前に少し聞いていた。
きっとその事で交通整理が行われたのだろう。
そしてその場に僕は呼ばれなかった。
だから知らなかった、ただそれだけの話だ。
『...グズッ』
不意に目頭が熱くなり、目の前が霞む。
さっきまで部屋で泣いていたばかりなのにまだ涙が湧いてでてくる。
僕はその涙を服の袖で荒々しく瓊ぐった。
『遠征ご苦労様でございます』
『...ッ』
不意に北門の外側から父さんの声が聞こえた。
それが丁度僕が北門から外へ顔を出そうとした直前だったせいで思わず城壁に隠れてしまった。
何故か心臓が激しく波打つ。
『うむ、苦しゅうない。頭を上げてくだされ』
しかし、父さんの声の後に続く見知らぬ声にふっと冷静さを取り戻す。
...誰?
僕はほんの少しだけ門から顔を出す形で外側を覗いてみる。
これが普段の人通りの中であれば不審者と間違われて衛兵に捕まってしまうだろう。
いや、寧ろ人通りが無いこんな状況の中でこんな事をしている方が怪しく、そして目立ってしまっているのだろう。
まぁ、そんな心配が必要無い程にこの関の兵士と街人達には顔を知られているのだが。
『それにしても大変な事になりましたな、豪統殿。はっはっは』
『いやはや面目ない』
北門の外には父さんと凱雲、そしてその先には...すごい人数の兵士達が待機していた。
そしてその兵士の一団の先頭でいかにも位の高そうな衣服を纏いながら父さんと談笑する男。
体格は戦闘はおろか、自ら剣を振るう姿を想像できない程に...その...胴回りがしっかりしている人だった。
『本来ならこんな辺境にまで州牧様にお越し頂くのは気が引けるところではありますが...何分、我々では手に負えない事態になってしまっていて...』
...州牧。
それは洋班が度々自分の父がそれだと口に出していた言葉だ。
となるとあの肉男こそがあの洋班の父なのか?
急に心の中で黒い感情が湧き上がってくる。
『いやいや、とんでもないっ。私はあくまで自分の息子から呼ばれたから来ただけであって豪統殿が気にぬさる事ではござらんよ。はっはっは』
ん?
『それに、今回の事件は紛れも無く私の息子が引き起こしたそうではありませんか。でしたら親である私が尻拭いをするのは当たり前でございますよ。はっはっは』
『はははっ...恐れいります』
あ、あれ?
この人洋班と違っていい人?
さっきまで渦まいていた黒い感情が栓を抜かれたように一気に消えていく。
『...しかしですな』
...ん?
『いくら私の息子`であっても
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