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エリクサー
24部分:第二十四章
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「実にな」
「面白いこと?」
「そうだ。それだ」
 彼は言うのだった。
「エリクサーを知っているな」
「はい」 
 本郷もまたこのエリクサーというものは知っていた。
「錬金術の死者を生き返らせる薬ですね」
「そうだ。それだ」
 彼は言うのであった。
「それらしいな。どうやらな」
「エリクサー!?」
 本郷はその言葉をまた聞いて顔を顰めさせたのだった。
「まさか。エリクサーは」
「錬金術によって作られる」
 錬金術はあらゆる物質を金に変えることを究極の目的としている。賢者の石というものを作ればそれができると言われている。だが錬金術はそれだけではなく生命を蘇らせることもその中にあるのだ。ただ金だけを狙って研究されてきたわけではないのである。
「そうだな」
「そうです。あの博士は」
 ハインリヒのことを脳裏に思い浮かべる本郷であった。
「んっ!?」
 しかしここで。何故彼のことを思い浮かべたのか自分でも妙に思うのであった。それでついついそのことを言うのであった。
「何でだ」
 彼はそれをまた言う。
「何故あの博士のことが」
「リンデンバウム博士か」
「確かに怪しいですよ」
 この大学出身でしかも学者であるというのが大きなポイントであった。二人はかなり確信に近かったがそれでもここで彼の顔が浮かんだのが不思議だったのだ。
「それでも。どうして」
「思い浮かんだのか」
「直感ですかね」
 彼はその怪訝な顔で言う。
「これって」
「そうだな。ただの直感だ」
 役はそれは見抜いていた。
「だが。それはどうやら当たっているな」
「!?当たっていますか」
「ノートに面白い名前が出て来た」
 役はノートのある場所を見て本郷に述べたのだった。
「エルザとな」
「エルザさんですか」
「もうすぐまた会えると書いてある」
「どれですか?」
 それを聞いて無意識のうちにノートを覗く本郷であった。
「俺にわかりますか?」
「これだ」
 こう言ってそのポイントを指差す。するとそこに書かれていたのは確かにエルザという言葉だった。ドイツ語であり筆記体のうえかなり独特な文字であったが本郷にも何とかわかったのであった。
「わかるな」
「ええ、わかりました」
 役に対して答える。
「よくね」
「直感が現実になったな」
「そうですね。間違いないですか」
「これで話が完全につながった」
 しっかりとした顔で小さく頷きながら述べる本郷であった。
「エルザさんは。間違いなく」
「生き返ったんですね」
「道理で生気がない筈だ」
 役は全てがわかったうえでまた述べた。
「最初は人形か何かと思ったが」
「人形ですか」
「動く人形だ」
 こう述べるのであった。
「人形らしく顔は動かないな。顔色も白
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