22部分:第二十二章
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ります」
リンデンバウム家の祖先がという意味だ。それを考えるとリンデンバウム家とこの大学の関わりの深さがわかる。それはかなりのものである。
「それであの博士も」
「この大学に通っていたか」
「医学部だけじゃないですね」
医者であるのはわかっている。しかしそれだけではないというのだ。
「工学と生物学でも天才的だったようで」
「博士号でも持っているのか」
「そうです。三つ共です」
それだけでかなりのものであるとわかる。やはりハインリヒは相当な天才なのであった。
「三つの博士号を持っていますね」
「重なったな」
「重なった!?」
今の役の言葉に顔を向けた。
「どういうことですか、それは」
「いや。私の方の調べものだが」
「ではそちらは」
「そうだ。地下に面白いものがあった」
静かに語る。そのことを。
「それが何かというとだ」
「ええ」
「生命を蘇らせる方法だ」
「生命を、ですか」
それを聞くと本郷の目も自然と鋭いものになった。彼等にとってはそうした話は非常に身近にあるものである。何故ならそうした話を解き明かし解決することもまた彼等が依頼される仕事の多くだからだ。だからこそ警戒もしていた。
「そうだ。生命をな」
「何か話が怪しい方向に向かってきましたね」
その鋭くなった目で語る。自然と顔も鋭いものになっていく。
「じゃあひょっとしたら今回も」
「いや」
しかしそれは役によって否定された。
「おそらくそれはないな」
「ないですかね」
「では聞くがあの博士から邪なものを感じるか」
彼が聞くのはそこであった。
「どうだ、そこは」
「はっきり言ってないですね」
本郷はすぐに答えた。それはもうはっきりしていた。
「あのフロイラインからは」
「お嬢さんからもないですね。そうしたことは全く」
「狂気は」
「それもないです」
そうしたものは一切感じられない。二人は何も感じ取ってはいなかったのだ。
「といっても妖かしの気配も感じませんし。じゃあやっぱり」
「そうだ。あの二人には決して邪なものはない。狂気も魔性もな」
「けれど人を生き返らせたんですよね」
「そのことだが」
話の核心について言及する。
「来てみるか」
本郷に顔を向けて問うてきた。
「どうだ?」
「そこにですか」
「そうだ。無理強いはしないがな」
一応はこう前置きする。
「どうだ」
「そうですね。興味はあります」
本郷もそれは否定しない。しかしその顔は真顔であった。
「それもかなり」
「かなりか。では話は決まりだな」
役は本郷のその言葉を聞いて納得した顔で頷いた。
「行くか」
「ええ。それじゃあ」
本郷が先に立ち上がった。それに役が続いて立ち上がる。
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