第三章
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「だからな」
「白い布ですね」
「清潔な布だ」
白くそれに加えてだった。
「もっと言えば清潔ならな」
「その清潔な布が中々ですけれどね」
「何とか見つけてやっていくぞ」
「あと水ですね」
傷口を洗う為だ、勿論生きる為にも必要だ。何しろここは砂漠のキャンプである。水は貴重品である。
だがその水をだ、何とかだというのだ。
「確保してな」
「はい、わかりました」
「俺達の飲む分を切り詰めてもな」
やっていくことにした、そしてだった。
二人はない分を必死にやり繰りをして難民達を助けていた。連日連夜極限状態で働きづめだった、その中で。
彼等は次第に疲労が溜まっていた、特に隆則がだった。
年齢とそれ以上に主に働いているだけに疲労が凄かった、言葉には出さないが顔に明らかに出ていた。
その彼を見てだ、嘉一は心配する顔で言った。
「あの先生、少しは」
「休めか」
「はい、少しでも寝ないと」
「大丈夫だ」
隆則はこう言うだけだった、表情は疲れているがそれでも立っている。
そのうえでこう言ったのである。
「俺のことは気にするな」
「そうですか」
「そう言う御前もだ」
逆にだ、隆則は嘉一に言うのだった。
「休め」
「俺ですか」
「そうだ、最近碌に寝ていないし休んでいないな」
「ああ、俺は大丈夫ですよ」
嘉一も嘉一だった、微笑んでこう言うのだった。
「若いですし学生時代も今もラグビーやってますから」
「それでか」
「これ位は平気ですよ」
ラグビーをしているのは確かだ、だがそれでも大丈夫かというとそうではない。
それでだ、こう言うのだった。
「ですから先生の方こそ」
「いや、まだまだ診察しないといけない」
隆則は嘉一の勧めを断って述べた。
「全部終わってから休む」
「そうですか、じゃあ俺も」
嘉一も隆則に従った、そしてだった。
彼等は今も必死に働いた、それは特に疲労が蓄積している隆則もだ。二人共休むことなく働き続けた。
しかし疲労は休まねば回復されない、働き続けていてしかもまともに食べても飲んでもいないなら余計にだ。それで。
遂にだ、まずは隆則がだった。
血を吐いた、嘉一はそれを見て彼に言った。
「ですからもう」
「何度も言っているな」
あくまでだ、こう言うばかりだった。
「俺は大丈夫だ」
「そう仰いますけれど、いつも」
「血を吐いた位で何だ」
隆則は立っている、気力で立っている状態である。
しかしその気力だけでだ、こう言うのだ。
「まだ困っている人達はいるんだぞ」
「ですが先生に何かあったら」
「俺は死なない」
気力だけでだ、そうしてだと言ってだった。
血を吐いても診察を続けた、最早身体は限界だったが。
隆
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