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もう一度空へ
第六章

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「世話になった、また機会があれば会おう」
「戦いに行かれますか」
「再び」
「そうする、それが私がしなければならないからだ」
 かつての彼に完全に戻っていた、、そのうえでの言葉だった。
「最初にペガサスに乗っていた時から決まっていたことだったのだ」
「貴方はペガサスと共に人に害する者達と戦うことがですか」
「それが運命だったのですね」
「今はそう思う、私はそのことに気付かず驕っていた」
 そして天に登ろうとして罰せられた、そのことを悔みとしながらも。
 再びペガサスに乗った、そして言うのだった。
「そのことを己への戒めとしつつだ」
「天に戻られますか」
「そうすることになる」 
 ここまで言ってそしてだった、ペレロポーンはペガサスに顔を向けた。するとペガサスはそこからその意を受けて。
 天高く舞い上がった、そしてペレロポーンを乗せて空の彼方に消え去った。村人達はその彼を完全に見えなくなるまで見送った。
 彼の姿はオリンポスからみ見られていた、少年の姿で角を生やし山羊の脚を持つ神パンが共に彼を見るヘルメスにこう言った。
「あの、父上」
「彼のことだね」
「はい、ペレロポーンですが」
「もう彼は驕ることはないよ」
 それはないとだ、ヘルメスはペガサスに乗り空を駆るペレロポーンを見ながら微笑みで我が子の言葉に答えた。
「絶対にね」
「そうですか」
「うん、彼は悔やんでいるから」
 だからだというのだ。
「それが己への戒めになっているよ」
「だといいんですが」
「大丈夫だよ」 
 こう我が子に告げる。
「それとだけれど」
「今度は一体」
「これからの彼だけれど」
「悪い獣や悪人を倒していくんでうしょね」
「そうしていくよ」
 このことはもう決まっているというのだ。
「大変だろうけれどね」
「ペガサスと共にですね」
「だから彼は天に登っているんだよ」
 全ては人と戦う為だというのだ。
「それが彼の運命だからね」
「その運命に戻ったんですね」
「人にも神にも運命があってね」
 ヘルメスはこのことを語りつつ遠いものも見た、そのうえで言うのだった。
「それから逃れることは出来ないから」
「彼も戻ったんですね」
「驕りとその悔恨の時が済んだから」
「運命に戻りそうして」
「彼は再び天を駆るんだ」 
 そして戦うというのだ。
「僕達はその彼を見守ろう」
「そうされますか」
「うん、もう一度天にあがった彼をね」
 こう言ってだった、ヘルメスは温かい目でペレロポーンを見ていた。再び天に戻った彼を。


もう一度空へ   完


                   2013・7・2
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