21部分:第二十一章
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だ」
整っているのは建物だけではなかった。
「学部もかなりあるな」
「ええ。あっちは」
ここで本郷が左側を指差して言った。
「医学部ですよ」
「医学部か」
「それに工学部ですね」
他には文学部や法学部、神学部等の行き先を指し示したものもある。学部もかなり充実していると言えた。少なくとも十学部はあった。
「医学部と工学部か」
「そっちに行かれますか?」
「そうだな」
役は暫し目にだけ考える色を見せてから本郷に答えた。
「そうしよう。特に医学部はな」
「ですね。リンデンバウム博士の専門分野ですし」
「それにだ」
ここで役はさらに言う。
「この大学は博士の出身大学ではないのか」
「博士のですか?」
「あくまでひょっとしたらだが」
役は直感で言ったのであった。
「あの城からこの大学への通学は楽だな」
「ですね」
歩くのは辛くとも馬や車ならば楽だ。その程度しか離れていないのである。それを考えればここに通っていることは充分に考えられた。
「それはまだ確証はないが。とりあえず調べるだけ調べてみるか」
「ですが役さん」
本郷はここで役に対して言ってきた。
「どうした?」
「だからといってそう簡単にはわかりませんよ」
「少なくとも表にはない」
それは役もわかっているようであった。目だけで頷いてきたのがその証拠であった。
「表にはな」
「見えないところですか」
「まずはまたこれを使うか」
またここで数枚の札を懐から出してきたのであった。
「これで。中を調べてみるか」
「ですね。それにしても」
「どうした?」
「いえ、俺なんですけれど」
苦笑いを浮かべながら自分のことを指差しながら言ってきた。
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