20部分:第二十章
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入る前に飛ばしていた式神のことである。このことも語られるのであった。
「ありはしなかった。生きている者ならばある筈の」
「エルザさんは何の表情の変化もありませんでしたしね」
「うん」
このことも話される。
「まるで人形のようにな」
「じゃあやっぱりあれですかね」
本郷はここで一つの結論を出すのであった。
「エルザさんは。機械ですかね」
「機械か」
役はその言葉に目を光らせた。彼は少し蹲って彼の言葉を聞いていたのである。
「そうかもな。だが」
「息はされていますね」
「そうだ」
それは否定された。エルザは間違いなく息をしていた。二人はそれもはっきりと見ていた。だからこそ機械であるというのは否定できたのだ。
「間違いなくな」
「肌も髪も。人のものですし」
「色もある」
蒼白ではあってもそれは生者のものであった。これも間違いのないことであった。
「つまりだ。間違いなく生きているのだ」
「そうですね、確実に」
「では。何だ」
ここまで話したうえで役は言う。
「彼女は。一体何なのだ」
「生きてはいますよね」
「しかし生気がない」
矛盾しているものが同時に存在していた。エルザという美女に。
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