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フォアグラ
第八章

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「ですから」
「いいのか」
「はい、いいのです」
 そうだというのだ、医者は。
「川なり何処かで泳がれることです」
「水泳は好きだ、ではな」
「おj励み下さい」
 こうしてだった、セルバンテスは水泳から身体を動かしはじめ家の他の者達も食事を変えて身体を動かしはじめた、その結果。
 彼等はみるみるうちに痩せた、セルバンテスにしてもまだまだ太っているが。
 しかしそれでもだ、腹は普通の太り方になった。顔の脂肪もかなり減った。
 彼は水泳からテニス、乗馬もはじめた。その結果健康もだった。
「最近身体の調子がいい」
「そうでしょうね」
「逆に食事が美味い程だ」
「身体を動かせばその分食事も美味しくなります」
「そうだったのか」
「そうです」
「身体の調子がいい理由はか」
 それは何故か、セルバンテスは考えて医者に述べた。
「食事を変えて身体を動かしているからだな」
「そうです、その二つのことで肥満がかなりよくなったので」
「だからか」
「そうだったのです」
「成程な、フォアグラやああした育て方をした動物の肝臓なり肉をあまり食べることはか」
「よくないのです」
 食べ過ぎてはというのだ。
「あまり脂肪の多いものや甘いものを食べることは」
「そういうことだな」
「普通のものを食べて」
「身体を動かすことか」
「それがいいのです」
 医者は真面目な顔でセルバンテスに話した。
「そういうことなのです」
「ではこれからもな」
「そのことをお願いします」
「その方が食事も美味いからな」
 セルバンテスはにこやかな笑みで応えたのだった、そして。
 彼に対してだ、こうも言うのだった。
「それでだが」
「それでとは」
「貴方の名前を広めていいだろうか」
 医者のその名前をだというのだ。
「貴方のお陰で多くの人が助かったのだから」
「ははは、私はそうしたことは求めていません」
 医者はセルバンテスの申し出に笑って返した。
「ですから」
「それはいいのか」
「そうです、このサン=ジェルマンは」
 自分の名をここで出すのだった。
「そうしたことは望んでいません」
「では、あくまでこのことは」
「この家だけのことということで」
 セルバンテスと家の者達を救い健康にした、それだけでいいというのだ。
 これはルイ十五世の頃のフランスにある話だ、この医者が本物のサン=ジェルマン、様々な伝説と謎に包まれ今も生きているという噂のある人物かどうかはわからない。しかしこの医者がセルバンテス達を助けたことは紛れもない事実である、このことを今ここに書き残しておくことにする。


フォアグラ   完


                              2013・8・21
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