第二章
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その中でだ、彼はふと周りにこんなことを言った。
「フォアグラのことだが」
「はい、今日もですね」
「フォアグラを召し上がられますね」
「無論そうする、しかしだ」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「今言うことはそのことではない」
食べはするがそうしたことを話しているのではないというのだ、では何を話すかというとい。
「フォアグラ自体についてだ」
「フォアグラ自体ですか」
「そのことについてですか」
「そうだ、それはだ」
どうかというのだ、フォアグラは。
「あれは鵞鳥を首から下を完全に埋めてそのうえで無理にでも食わせて太らせて作るな」
「はい、そうします」
「今も当家でそうして作っていますが」
「そうだな、ではだ」
家の者達にこのことを確認してからだ、さらに言うのだった。
「他の動物でもしてみるか」
「他の動物でもですか」
「フォアグラの様にされますか」
「そうだ、そうしようか」
言うのはこのことだった。
「豚なり牛なりでな」
「ううむ、豚や牛で、ですか」
「フォアグラの様にされますか」
「そうしてみてはどうだろうか」
考える顔でだ、家の者達に話していく。
「どう思うか」
「ううむ、それでは」
「そうしてみますか」
「無論他の部分も食べる」
セルバンテスは太らせた鵞鳥はフォアグラだけを食べはしない、内蔵の他の部分や肉も食べる。そして皮や足の先もだ。
その彼がだ、こう言うのだ。
「太らせた豚や牛のな」
「わかりました、それでは」
「作ってみます」
「そうしてみてくれ」
セルバンテスは冷静に彼等に言った、そしてだった。
実際にセルバンテス家では様々な動物が首から下まで埋められて無理にでも食べさせられて太らさせられた、そしてその肝臓をだ。
セルバンテスが食べる、調理された豚や牛の言うならばフォアグラを食べたのだ。そのうえでこう言うのだった。
「美味い」
「美味ですか」
「よい味なのですね」
「そうだ、美味い」
確かな声でだ、食べつつ言うのだった。
「非常にな」
「今出したのは豚の肝臓ですが」
「よいお味でしたか」
「いいものだ、今度は牛のものを食べよう」
その牛のフォアグラをだというのだ。
「そうしよう」
「では次はです」
「それを調理しますので」
「次にその豚の肉を持ってきます」
「内蔵も」
「頼むぞ、真の美食家は一切の食材を無駄にしない」
セルバンテスは食材を捨てることは大嫌いだ、それで余った食材は全て家の者に食べさせている。そのせいか家の使用人達も飼っている犬達も皆丸々としている。彼は使用人達には振舞うものも多く寛大でいい主なのだ。
それでだ、今も彼等にこう言うのだ。
「御主達も余ったものをだ」
「有り難うご
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