第三章
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「そっちには姉貴もいますがね」
「そうなのね」
「はい、まだ自分の家族はいないです」
自分で笑って話す。
「早く欲しいところですね」
「わかったわ」
美女は彼の話を聞いて笑顔で頷いて応えた。
「そのことはね」
「ええ、それじゃあ」
「ダリアをね」
買うとだ、美女は言ってだった。
そのうえでそのダリアの花束を買って店を後にした。ヒメネスはその美女の背中を見送ってからそのうえでマルカーノに言った。
「今の人ですけれど」
「美人さんだよな」
「あだっぽくて」
そうだとだ、マルカーノに話すのだった。
「凄かったですね」
「あんな美人いたかね、近所に」
「引っ越してきたんでしょうか」
「そうかもな」
こう応えるマルカーノだった。
「やっぱりな」
「そうですか」
「ああ、若しもだよ」
「若しもですね」
「あんな美人がいつも傍にいたならな」
どうかというのだ、マルカーノもまた美女が去った店の出入口を見ながらそのうえでヒメネスに応えるのだった。
「最高だよな」
「そうですよね」
「ああ、本当にな」
こう言うのだった。
「是非共な」
「そうですよね、しかし店長も」
「僕もかい」
「本当にそろそろですよね」
ヒメネスは今度はマルカーノを見て言う。
「結婚とかが」
「出来ればいいんだがな」
「ですよね、何か不況ですと」
しかも今の様な極めて深刻なものならというのだ。
「結婚しようって思えないですね」
「中々な」
「本当にどうにかならないですかね」
「どうだろうな、ドイツ次第だな」
「いい加減ドイツも怒ってるみたいですね」
とにかく不況の国々はドイツに頼りきっている、これはポルトガルだけでなくギリシアやイタリア、スペインも同じだ。
それでだ、ドイツもなのだ。
「負担が大き過ぎて」
「そうみたいだな、とにかくな」
「この不況はですか」
「そんな簡単には終わらないだろうな」
「まだまだですか」
「早く景気が戻って欲しいがな」
店をやる人間にしてはだというのだ、だが今のポルトガルは願えば戻る様な状況ではないのも確かだった。
そんな中でだった、はじめての来店から数日経ってからだった。
また美女が来た、美女はこの日もだった。
「ダリアを貰えるかしら」
「その花をですか」
「ええ、前と同じ様にね」
「わかりました」
マルカーノは店長として応えた、そしてだった。
美女はこの日もダリアの花束を買って行った、そしてマルカーノに支払いを済ませた時にだった。
その彼女がだ、こう彼に言って来た。
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