第二章
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「だから代々シュタインベルク家では伴侶を門閥等で選ばなかった」
「政略結婚はですね」
「してこなかった」
全くだ、それはなかったというのだ。
「そして私もだ」
「奥方はですね」
「身分でも財産でもない」
実際に彼の母も平民出身だ、農家の娘を父が見てその必死に働く姿によさを見て己の妻に迎えたのである。
「人柄だ」
「では」
「もう一度よくリサ王女について聞いてみよう」
そしてだというのだ。
「あの方がどうした方かな」
「それからですか」
「私もだ」
「あの方に求婚されますか」
「あの方が王女だからではない」
本当にこのことはいいとしていた、それがフランツだ。
「あの方の人柄だ」
「そのことからですね」
「決める」
求婚するかどうかをだというのだ。
「そして求婚するからにはだ」
「必ず、ですね」
「それを成功させる」
失敗するつもりはなかった、断じて。
「何かをするからには必ず成功させねばならない」
「旦那様はいつもそう言われていますね」
「うむ、そうだ」
このことも父にいつも言われてきている、それは領主として失政や敗戦は民に対して大きな災厄をもたらすからだ。
「だからだ」
「それでは」
「私自身もリサ王女とお会いするか」
そして彼女を知ろうというのだ。
「そうするか」
「しかしそれは」
「出来ないか」
「今ご領地は」
どうなっているかというのだ、フランツの領地であるシュタインベルク侯爵領は。
「洪水の後で」
「そうだな、それをどうにかしないとな」
「はい」
「妹を送るか」
彼の妹であるエイrザベートをというのだ。
「そうするか」
「そうですね、エリザベート様ならしかと御覧になられますし」
「あの娘は出来る」
人を見る目があるというのだ。
「だからな」
「それでは」
「留学の名目で送ろう」
そのうえでリサを見てもらうというのだ。
「そうするとしよう」
「それでエリザベート様のお相手も見つけられればいいですね」
「そうだな」
こうした話をしてだ、そしてだった。
すぐにエリザベートがアルデンフェルトに送られた、そして。
フランツが民の救済と治水の見直しと復旧に心を砕いている間に彼女がリサを見た、そのうえで国に戻ってだ。
フランツに彼女のことを報告する、その彼女はというと。
「噂通りの方か」
「はい」
兄によく似た黒髪と黒い瞳の少女が応える、背は高くすらりとしていて凛とした顔立ちは中性的な趣きがある。
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