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すみれ姫
第一章
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に問うていたのだ。
「そうか」
「リサ王女の願いを適えられませんでした」
「リサ王女はかなりの方だそうだな」
「ただお綺麗なだけではなく」
「そのご性格もだな」
「非常に素晴らしい方とのことです」
「そのことはわかる」
 フランツは強い目を放っている光で述べた。
「私にもな」
「はい、誰もが楽しめるものといいますと」
「民もだ」
「民のことを念頭に入れておられてのお言葉ですね」
「間違いなくな」
「そうしたことを見てもですね」
「あの方はよい方だ」
 性格もだというのだ。
「父上が仰っている」
 今はもう隠居している父、即ち先代侯爵がだというのだ。
「生涯の伴侶に必要なものはだ」
「家門でも財産でもなくですね」
「人柄だ」
 こうだ、彼は父に常に言われてきたのだ。
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