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ジャッジ
第一章

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                  ジャッジ
 この大会は最初から無事に進められるのか疑問視されていた。
「はじめての共催か」
「一国だけの開催じゃないからな」
「はじめてのことだしな」
「大丈夫か?」
「そこが不安だな」
「ああ、そうだな」
 こう話される、だがこの時点では心配されるのはこの退会運営のことだけだった。
 皆このことを不安に感じていた、だが。
 その頃その共催の一方の国、この国を某国と書こう、この某国ではこのスポーツの理事長達がこんなことを話していた。
「開催までこぎつけたな」
「はい、何とか」
「それは達しました」
 他の理事達が理事長に話す、密室の中で。
「委員会に多量に賄賂を贈り」
「あの国の単独開催は阻止しました」
「何とか我等は入り込めました」
「かなりの額の賄賂は使いましたが」
「何、構わん」
 理事長は賄賂の額は問題にしなかった、平然として言う。
「それはな、むしろだ」
「これからですか」
「これからのことですか」
「スタジアムの建設等はあの国に出させてだ」
 共催するもう一方の国にだというのだ。
「あの国の野党議員に声をかけてな」
「そうしてですか」
「出させますか」
「特にだ、韓とか言ったな」
 野党の領袖の一人の名前がここで出た。
「あの男に特に声をかけてだ」
「そしてですね」
「金を出させますか」
「そうだ、建設の金はそれでいい」
 一番肝心のそれはだというのだ。
「しかしだ」
「まだですね」
「金は必要ですか」
「我々は開催国になったのだ」
 理事長は理事達に傲然と言い放った。
「それなら開催国の面子にかけてだ」
「勝つことがですね」
「それが必要ですね」
「そうだ、勝ち我々の実力を世界に知らしめるのだ」
 そしてその為にだった。
「より金を使わねばな」
「ではどうするのですか?」
「もう委員会には充分ばらまきました」
「他に何に金を使うのですか?」
「一体」
 理事達は理事長の今の言葉に怪訝な顔になった、理事長はその彼等に告げた。
「グラウンドに使う」
「グラウンド?」
「そこにですか」
「そうだ、使う」
 まさにそこにだというのだ。
「わかったな、そこにだ」
「グラウンド?」
「相手の選手にですか?」
「流石に他国の選手の買収は無理では」
「それにその話を出せば下手をすれば」
 他国の選手の買収、流石にそれはというのだ。
「その選手が賄賂の話を公にします」
「そうなれば我々の工作が明るみに出ますぞ」
「仮にも一国の代表です」
「買収は」
「何、選手には使わない」
 金、それをだというのだ。
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