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第五章
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「ずっとそうだったんだ」
「ううん、私はずっと楽しみで仕方なかったけれど」
「由紀ちゃんはそうだったんだ」
「ええ、それで皆ににたにたし過ぎって言われた位だったし」
「俺は心配し過ぎて言われてたよ」
「何か同じね」
 由紀は期待と不安、その二つはベクトルこそ違えどそれでもだと気付いた。それで優しい感じの笑顔でこう言ったのだった。
「私達ってね」
「同じかな」
「ええ、それじゃあね」
 それならだと言ってだ、そのうえで。
 由紀の方から達也の方に近付いてだ、微笑んでこう言った。
「もう期待とか不安はなしで」
「今からは」
「そうしよう、楽しもう」
 こうその優しい笑顔で言うのだった。
「二人でね」
「それじゃあ今から」
「うん、行こうテーマパークにね」
 こう話してそしてだった、由紀は達也と共にそのデートを楽しんだ。そうしたのだった。
 デートの間由紀も達也も楽しい笑顔だった、期待も不安も見せなかった。
 それで心ゆくまで楽しんだ、それで家に帰ると。
 由紀は母に尋ねられた、その笑顔のことを。
「大丈夫だったわよね」
「何も言われなかったわよ」
「本当に?彼氏に?」
「何か達也君デートまで凄く不安だったらしいけれど」
「あんたと正反対になの」
「正反対っていうか同じだったみたい」
 ベクトルこそ違えど、だというのだ。
「それでね」
「それで?」
「そう、一緒だったから一緒にね」
 言葉は過去形から現在形になった、そのうえでの言葉だった。
「楽しんだの。達也君も不安じゃなかったわ」
「やれやれね、じゃあこういうことなのね」
 母は娘の話に一旦軽い溜息を出してそれから言った。
「実際にその中に入ったら、入るまでは違っても」
「その時になればなのね」
「楽しめるのね、けれどね」
「けれどって?」
「あんたの顔段々戻ってるわよ」
 そうなっているというのだ、由紀の顔派。
「締まりのない笑顔になってるわよ」
「そうなの?」
「余韻思い出してるからなのね、その中にあっても何もならないのに」 
 それでもだというのだ。
「いざ中から出れば戻ってるわよ」
「そうなってるのね」
「ええ、気持ちはわかるけれどもっと落ち着きなさい」
 デートに行く前と同じ言葉だった。
「いいわね」
「ううん、それじゃあ」
 その締まりのない笑顔を何とか普通にしようとする、その中でだった。
 由紀はついだ、こう言ったのだった。
「楽しかったわ、それで今度も」
「だから気持ちはわかるけれどその笑顔は止めなさい」
 やれやれといった顔での忠告だった、そして達也はこの時あの時はどうだったか、そして今度のデートはどうなるかと不安だった。それで次のデートの間は楽しんで。 
 そうしたことを繰り返
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