〜五学年〜
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スの的だ。
一発足りない。
「…………」
「…………」
アレスとスーンが交互に的に目を向けた。
「アレス?」
「ああ……言いたい事はわかる」
ゆっくりとアレスは真剣な表情で頷いた。
スーンへと目を向けて、そして、フェーガンへと。
「フェーガン……お前、よくそんな離れた所から、こんな小さい穴が見えたな」
「そうじゃないよ!」
スーンはレーザー銃で、アレスを殴打した。
+ + +
幸いにというべきか、当然と言うべきか――アレス達は無事に五学年に進級することができた。最上級生ともなれば、下級生に比べて扱いは天と地ほども違う。
しかし。
「こうも注目されると、動物園の猿になった気分だな」
受ける視線に、アレスは苦笑を浮かべた。
学生全員が入ることができない学食スペース。
しかし、最上級生だけは優先的に座ることができる。
昼食のパスタをフォークでつつきながら、周囲に視線を向けた。
途端、見ていた視線が慌てて顔をそむける。
座っている人間だけならばまだしも、立ちながら食べている一年生までこちらを見てどうする。制服に染みがつけば、怒られることは重々承知しているだろうに。
目前でパンをちぎって口に入れながら、スーンが小さく笑った。
「仕方ないよ。何せアレスは戦術シミュレータ大会で三連覇して、もうすぐ四連覇がかかってる注目の選手だからね。有名税って思って諦めな?」
「有名税というが、俺はほとんど儲かってないぞ」
アレスは渋い顔で答えた。
二学年の時は、ヤンチームに賭けていた。
三学年の時は、どういう因果かローバイクとコーネリアが再び同一のチームとなったため、アレスは二人に賭けた。もっとも、その二人は準々決勝でアッテンボローのチームに敗退し、決勝戦でアレスがアッテンボローのチームとあたることになったわけだが。
そして、昨年だ。
アレスとアッテンボローが組む事になった大会は、対戦相手を全て全滅させる完勝で優勝している。
さすがにアレスも、前回ばかりは自分のチームに賭けた。
倍率は1.1倍だったが。
つまり。
「収支を計算すると、明らかに負けているわけだ」
「俺は勝った」
昼食からステーキランチを食べていたフェーガンが、満足そうに微笑んだ。
卒業後の結婚資金が一気に貯まったと聞いたので、間違いなく満足しているのだろう。
少しは分けろと、アレスは口を尖らせ、フェーガンの肉を奪う。
「むっ」
サラダを食べていたフェーガンが気づいた時には、既に厚手の肉はアレスの口の中だ。
咀嚼する音に、スーンが酷いなぁと笑う。
「これくらい貰っても罰はあたらん」
学食にしては随分と柔らかい肉を咀嚼しながら、アレスはワ
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