〜五学年〜
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青い光線とともに炭酸の抜けるような圧縮音が聞こえる。
高電圧から生まれるオゾン臭が鼻につき、輝く光が断続的に暗闇に走った。
それが幾度か続いて、天井に備え付けられた赤色灯が回り、ブザーが鳴る。
鳴り響く音とともに、横一列に並んでいた学生はゆっくりと構えていたレーザー銃を下ろして、銃弾代わりのエネルギーパックを抜きだした。
しばらくして機械の駆動音とともに、標的がアレスへと近づいてきた。
黒丸が書かれただけのシンプルな的だ。
それが眼前まできて、アレスはしばらく的を睨みつけ、次に指を折った。
「……1、2、3、4、5、6。6だ」
続いて、アレスは的を確認する。
「1、2、3、4……5」
そして、冷静に一つ頷いた。
「うん、一発足りない」
わずか三十メートルばかりの距離で、的に開いた穴は見事に中央をずれている。
いや、それどころか放った一発に至っては、どこにいったのかすらわからない。
昔の銃弾ならいざ知らず、空気抵抗すら考慮しないレーザー銃でここまで外れるとは、自分の腕ながら関心をする。
おそらくは銃技では、ヤンにも劣るのではないだろうか。
唸っていても的の穴が変わるわけがない。
小さく息を吐いて、アレスは隣に目をやった。
アレスと同じように的と睨めっこをしているスーンがいた。
珍しいものだと思う。
スーンはアレスとは違い、銃技は苦手としていない。
むしろ得意な方だろう。
そう考えて、スーンの的を見れば、見事に左端に一発の穴が開いていた。
大外れだ。
「残念だったな」
「あ。勝手に見ないで欲しいなぁ」
スーンは苦笑すると、恥ずかしそうに手を振った。
「恥ずかしがることないさ。他の五発が当たっているだけでも十分だろう、俺を見ろよ」
「何というか、見事にバラけてるね」
アレスの的を見て、スーンが苦笑する。
「外れるにしても同じところならまだ救いようがあるけど」
「近くだったらトマホークがあるからいいさ」
「遠くだったらどうするのさ?」
「その時はトマホークを投げるさ」
しれっとアレスは肩をすくめて見せた。
呆れたように、スーンが笑う。
と、二人の間から腕が伸びた。
引き締まった筋肉質の腕だ。
その先に視線を向ければ、フェーガンがいる。
「たぶん」
二人が疑問を挟もうとして、腕を見ればスーンの的を指さしていた。
正確には、その中央だ。
よくよく見れば、中央に開いた穴――それが小さく広がっているのが見えた。
ちょうど二つの丸が重なったような穴だ。
「そこに二発あたっている」
「え。いや、でもじゃあこれは……」
驚いたようにスーンが問いかけようとして、そこで見たのはアレ
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