14部分:第十四章
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第十四章
「御願いします」
「わかりました。ではこちらこそ」
ハインリヒも応えて言ってきた。
「ようこそ我が城へ」
「はい、御願いします」
こうして二人は正式にハインリヒの城に滞在させてもらえることになった。この話の後でようやく朝食となる。本郷はここでようやく朝食の時間だということに気付いたのであった。
「そういえばそういう時間でしたね」
「ほう、忘れていたのか」
役は今の本郷の言葉に意外だといわんばかりの顔を見せてきた。
「こうしたこともあるのか」
「俺だって人間ですよ」
本郷も苦笑いを浮かべてこう役に答えた。
「忘れることだってありますよ」
「それもそうか。むっ」
出て来たのはハムエッグであった。それと黒パンにホットミルク、そしてサラダであった。
「ハムエッグですか」
「如何でしょうか」
ハインリヒが二人に応えてきた。
「お好きならばいいですが」
「大好物でして」
本郷は楽しげに笑って彼に答えてみせた。
「やはりこれも」
「はい、ドイツのハムです」
これは外せなかった。それと黒パンがここがドイツであることを教えていた。
「やはり私はハムはドイツのものが一番だと思います」
「そうですね」
本郷もそれにある程度同意して頷いてみせた。
「確かに美味しいですね」
「昔からドイツはこうした燻製が多いのです」
これには理由がある。昔のドイツでは冬の食事は豚を一匹殺してそれを一冬の主な食事にしていたのだ。だからこそ保存を効かせる為に燻製が発達したのである。
その燻製を今楽しんでいる。ハムもまたドイツではよく食べられるものなのである。もっともこれはドイツだけではないのであるが。
「それが気に入って頂けたのは何よりです」
「はい。それでですね」
また本郷は言う。
「このハムはやはりこの辺りのものでしょうか」
「そうです、チューリンゲンのものです」
ハインリヒはその問いに素直に答えてきた。
「そうですか。チューリンゲンの燻製もいいのですね」
「少なくとも私は好きです」
ハインリヒは微笑んでこう答えるのだった。
「パンもそうですが」
「黒パンはあまり日本では食べられないんですよね」
本郷はそのことをハインリヒに告げた。
「けれどこうして食べてみると」
「どうです?いいものでしょう」
「少なくともドイツの黒パンは好きです」
あえてこう言葉を返すのであった。
「チーズも」
「確かあれでしたね」
ハインリヒはチーズが出たところでふとした感じで話してきた。
「日本ではチーズといえば牛のものばかりでしたね」
「はい、その通りです」
今度は本郷が答えるのであった。実際に日本で食べられるチーズは牛のものが殆どである。しかしドイツでは多少事情が異
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