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アップル
第八章
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「びっくりしたよ」
「まずくはないよね」
「うん、そうは思わないよ」
 確かに甘過ぎるがそれでもだ。
「最後まで食べられるから」
「よかったわ、それじゃあね」
「食べるよ」
 言いながら実際に食べて飲んでいく、そしてだった。
 キャロルは彼と両親の言葉を聞いてだ、それからこう言った。
「じゃあ今から行って来るから」
「アップルティーは魔法瓶に入れて行くんだぞ」
「熱いままにしておいてね」
「そうね、そうしておくわね」
 キャロルも両親の言葉に頷いてそうしてだった。
 魔法瓶、日本製のそれにアップルティーを入れてアップルパイはビニールに包んでからバスケットに入れて家を出た、そしてだった。
 キャロルが出て行くのを見届けてからだ、デボラさんは温かい顔で言うのだった。
「キャロルもやっとね」
「ああ、そうだな」
 アルバークさんも笑顔で応える。
「ああいうことをする様になったわね」
「恋人にお菓子を作って持って行くか」
「これであの娘も女の子になったわね」
「後は二人次第だな」
「何か今まで見てましたけれど」
 ここでこう言う優樹だった。
「あの、ちょっと」
「ちょっと?」
「ちょっとっていうと?」
「はい、日本と似た感じですね」
 考える顔でだ、彼は二人に話すのだった。
「ああして好きな相手に手作りのお菓子をプレゼントするのは」
「だってそれが効くからね」
「最高のプレゼントだからな」
「はい、それがです」
 まさに日本の女の子と一緒だというのだ。
「アメリカでも一緒なんですね」
「というか日本でもそうするのね」
「彼氏に手作りの食べ物をプレゼントしたりするんだな」
「しますよ、それに」
「それに?」
「それにというと?」
「最初の手料理が滅茶苦茶たどたどしいのも」
 キャロルは料理の腕は結構よかったがその手順はレシピを必死に見ていてしかもかなりあたふたしたものだった、それを見ていたから言うのだ。
「一緒ですね」
「結局あれよ」
 デボラさんはにこりと笑って優樹に話した。
「アメリカでも日本でも他の国でもね」
「女の子は一緒ですか」
「そうよ、アメリカは色々な人がいるけれど」
 この一家の様にアフリカ系もいるが白人もいるしアジア系もいる、最近ではヒスパニックも増えてきている。
 それでだ、デボラさんは今はこう言うのだ。
「どの娘もよ」
「好きな相手にはですね」
「そうよ、ああしてアタックするのよ」
 手作りのものを作ってだというのだ。
「勉強になったかしら」
「ええ、アメリカでもそうだったなんて」
「というか日本でもそうなのね」
「ああするんだな」
 今度はデボラさんだけでなくアルバークさんも優樹に行ってきた。
「こっちもいい勉強になったわ」

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