第一章
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アップル
アメリカでは非常に林檎をよく食べる、それでこの家にホームスティーに来ている日本人高村優樹もこう言うのだった、彼は大学生で夏休みを利用してホームスティーに来ているのだ。
「話は聞いていましたけれど」
「林檎が多いっていうのね」
「はい、予想以上に」
家の奥さんであるデボラ=ブーマーに答える。デボラ夫人は長身でしかもでっぷりと太ったアフリカ系のおばさんだ、白くなってきている髪をアフロにしている。尚ご主人も二メートルのアフリカ系の男性で髪の毛はアフロで尚且つ腹が出ている。
そのデボラさんにだ、彼は言うのだ。
「林檎のお菓子が多いですね」
「他の果物も沢山あるけれどね」
「やっぱり一番はですよね」
「そうよ、林檎よ」
やはりこれだというのだ。
「アメリカならね」
「アメリカなら何処でもですか」
「このニューオーリンズでもね」
優樹がホームスティーに来ているのはルイジアナ州のこの街だ、言わずと知れたアメリカ南部の中心地の一つでありジャズの街でもある。
「ニューヨークでもシカゴでもよ」
「アメリカならですね」
「林檎が一番よ」
果物の中ではというのだ。
「普通のお料理でも使ってるでしょ」
「はい、確かに」
「特にお菓子はね」
「これですね」
優樹は自分が座っている席の前を見た、そこにはというと。
アップルパイがある、そしてアップルティーだ。言うまでもなくデボラさんの手作りだ。
その組み合わせを見てだ、優樹は言うのだ。
「アップルパイとアップルティー」
「美味しいでしょ」
「はい、奥さんお料理得意ですね」
「あら、誘惑してるのかしら」
「それはないですから」
優樹は笑ってデボラさんの今のジョークに返した。
「日本に彼女がいるんで」
「そうなのね」
「ええ、まあとにかくですよね」
「アメリカの女の子ならまずはね」
「この二つですか」
「これが出来ないと」
駄目だというのだ。
「まずはね」
「そうなんですね」
「ええ、そうよ」
デボラさんもだ、そのアップルパイとアップルティーを食べながら言う。
「とはいっても冷凍食品やお店で買ってるので済ませる娘も多いけれどね」
「その辺り日本と一緒ですね」
「アメリカはもっと凄いわよ」
そうだというのだ。
「日本のことは知らないけれど多分ね」
「買ってそれを温めて済ませるんですか」
「手間暇は省く」
現代らしいがこれが、というのだ。
「そうなってるからね」
「その辺りどの国も一緒ですね」
「忙しいとね」
若しくは横着したい時だ、とにかく時間をかけずに調理を済ませて手早く食べたい時には、というのである。
「どうしてもそうなるわね」
「そういうものですね」
「
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