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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
哲学的内容・・・・人間とは
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ないほど簡単に川を眺めている女性の幽霊を見つける。年は坂口と同じくらいで、肩まであるほどの髪を後ろで結んでいる。ふっくらとした体つきで見た目は人の良さそうな優しい奥さん。しかし、坂口の登場であの表情はどうなるのだろう。
宏助達は少し離れた土手でとまり、そのまま緊張した面持ちの坂口だけがその女性のもとに向かっていく。
そして、接触。
「・・・・・秀美・・・・。」
その声に女性の幽霊がばっ、と振り返り驚きの表情。何故だか明がいるおかげでその全てが鮮明に見える。聞こえる。
「秀美・・・・・。やっと会えた・・・・。」
坂口は妻の顔を見て恍惚の表情を浮かべるが妻の方は顔を歪めて叫んだ。
「なんでアンタがここにいるの!私を捨てて出て行ったくせに!」
数十年の妻の、自分を捨てて出て行った夫に対する憎しみ。それが今、ぶつけられている。
「それは・・・・悪かったと思って・・・・」
「悪かった・・・?悪かったですって!貴方には分かる?貴方の浮気を確信してしまった私の気持ちが!貴方には分かる?自分の部屋の中に死ぬために紐を吊るす場所を決めるために泣きながら部屋を歩きまわった私の気持ちが!?」
妻は吐く。全てを。そのとき言えなかった自分の気持ちを。それを聞いていた宏助は耐えられなくなってくる。
「明さん・・・・・これって・・・?」
宏助は不安になって明に聞く。しかし明はさっぱりとした表情だ。
「ねえ、宏助さん。あの人・・・・秀美さんの未練はなんだったと思います・・・?」
え、と言いかける宏助の耳にまた妻の苦悩が届いてくる。
「私の気持ちは・・・・私の気持ちは貴方に踏みにじられたのよ!あんなにあんなに慕ってたのに。たかが貴方の気持ちで!私の人生は・・・!」
「秀美!」
初めて坂口が声を荒げる。秀美・・・と呼ばれる女性は言葉を止める。
「・・・・すまなかった。私が身勝手だった。私は最低最悪の糞野郎で、妻を身勝手に裏切って、自分も身勝手に死んだ。そして今、身勝手に消えようとしている。分かるんだ。おまえに会ったことで私は今成仏しそうだ。もう、お前と一緒にいることもできない。だから・・・・・許さないでくれ・・・こんな私を。憎んでくれ。こんな私を・・・・でもね。私は・・・・・・・」
そこまで坂口が続けたところで秀美がまた叫ぶ。
「なに?これから成仏ですって?ふさけんじゃないわよ!私が・・・・・私の気持ちはどうなるの!私の思いは!」
「・・・私はお前と会えて良かった。嬉しかった。」
「・・・・・!!違う・・・・違うの。私があなたに言いたかったのはそんなことじゃなくて・・・・。私はね、私も待ってた。今も貴方のことを憎んでいるのは変わらないけど、でも・・・・・!」
そんな急に弱くなってきた妻の口を坂口の手が抑える。
「それ以上言ってはいけない。私は許
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