11部分:第十一章
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同じだ」
本郷のその言葉に同意するのだった。
「暫く見てみたいが」
「どうされますか?」
「何、明日次第だ」
役は少し楽観したように述べる。
「明日彼女の兄が戻って来ると言っていたな」
「はい」
「その時に彼がよしと言えばここに残れる。残れなければ」
「野宿ですか」
「しかし。まあ大丈夫だろう」
また楽観したような言葉を述べてみせた。
「彼女の言葉を聞く限りはな」
「暫くはここに留まることができますか」
「おそらくはな。ということはだ」
あらためて役のその顔が考えるものになる。その顔で本郷に対して言う。
「彼女についても調べることができる」
「見たところ邪なものはありませんけれどね」
「それはない」
役はもうそれを確信しているようであった。
「全く感じない。少なくとも妖かしの類ではないな」
「それは安心していいですか」
「そう。しかしだ」
それでも役は言う。魔性の者ではないことに安心しながら。
「彼女に何かあるのは間違いないな」
「ですね。一体何やら」
本郷も考える顔になる。しかし彼はまだわからなかった。彼女がどういった存在なのか。はっきりとわかりかねていたのである。
「本当に機械ですかね」
「というとあれか」
彼の言うことも役にはわかった。
「サイボーグ。そういった類か」
「どうですかね、そこは」
「そこも見ておくか」
役はまた考える顔で述べるのだった。
「これから」
「そうですね。それでは今は」
「うん。休むことも必要だ」
長く歩いたこととビールのせいだろうか。ここで不意に身体の疲れを感じたのであった。そうして本郷に対してまた言った。
「それでどうか」
「俺はもう少しいけるんですけれどね」
しかし本郷は平気な顔であった。少年の様な笑みを浮かべて彼に言葉を返すのであった。
「酒も。あれよりも」
「かなり飲んだと思うが」
役は今の言葉を受けて本郷に返した。
「いつもそうだが」
「また随分きついですね」
「別にきついとは思わないがな」
役の返答はここでも実に素っ気無いものでしかなかった。
「本当のことだからな」
「こういう言葉知ってます?」
本郷はそれに返す形で役に言ってきた。
「何をだ?」
「真実は時として非常に残酷なもので」
まずはこの言葉からはじめる。
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