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魔法科高校の神童生
Episode18:核心
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「…九十九家の人間はみんな一言多いな」


「へ?俺以外に誰か知ってるんですか?」


「ああ。九十九スバル先輩、私の剣術の師匠だ」


「……ええええ!?」


俺の姉さんが渡辺委員長の剣の師匠!?
あ、いやでもあり得無い話ではないか。渡辺委員長は千葉家で剣の修行をしてたらしいし、俺の姉さんも千葉家の技盗めるだけ盗んできてたし。


「世界って思ったより狭いのかもしれませんね」


「まったくだ」


そう言って、二人揃って溜息をついた。


「それで、渡辺委員長は今回の件をどう見ます?」


「どういう意味だ?」


訝しげに問い返す渡辺委員長に、一口コーヒーを飲んで答える。


「そのまんまの意味ですよ。今回の非魔法系クラブ連携組織による威嚇行動から、これから先のことです」


真剣な表情で俺がそう言うと、渡辺委員長も先程とは打って変わって真面目な顔つきになる。


「そうだな…前に言ったとおり、恐らく根は深いのだろうな。私達一般の高校生の手には負えないくらいに」


口では自信なさげに言っているが、渡辺委員長の言葉にはどこか確信めいたものがあった。流石は三巨頭の一人ってとこだね。


「そうですか……」


「だがいくら私達の手が届かないほど根が深くても、なにもやらないわけにもいかないだろう。そして、この学校の面倒ごとは我々風紀委員の仕事だ。頼むぞ九十九」


「了解しましたよ、っと!」


頼ってくれている。そう感じれて、俺は嬉しかった。残ったコーヒーを飲み干して、チラリと達也たちのほうを見ると、あちらも終わりのようだ。


「待って…待って!」


席を立った達也を引きとめようと、壬生先輩は青い顔で悲鳴に似た声をあげていた。どうやら、交渉は決裂したようだね。


「何故…そこまで割り切れるの?司波君は一体、なにを支えにしているの?」


「俺は、重力制御型熱核融合炉を実現したいと思っています。魔法学を学んでいるのは、その為の手段にしか過ぎません」


達也の言葉で、壬生先輩の顔から表情がなくなった。まあ、多分達也が言ったことが理解できなかったんだろうな。


重力制御型熱核融合炉の実現は、『汎用的飛行魔法の実現』『慣性無限大化による擬似永久機関の実現』に並んで『加重系魔法の技術的三大難問』と呼ばれているものの一つだ。それは、『二科生』が将来の夢とするには、大きすぎるテーマ。恐らく同じ『二科生』である壬生先輩には理解できていないだろう。そして、達也も理解してもらおうとして言ったことではない。ただ、普段の全てに達観したような態度を見せる達也にしては、新鮮味を感じるほどに、力のこもった言葉だった。


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