第27話「崩れゆく麗華」
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こんな……こんな……!
くず折れた麗華は呆然として、信じられない思いで鏡の中の自分を見ていた。全身をドロドロに汚して頬を紅潮させた牝の姿など、どこが堕ちていないといえるのか。汚らわしい自分の姿に全身を掻き毟りたいほどの自己嫌悪に麗華はかられた。
(これが私なんて……)
「本当に汚れてますね? 先輩」
「け、けどこれはみんなが……」
「誰に言い訳してるんですか? いいじゃないですか。麗華先輩は好きで汚れたわけじゃないんですから、開き直れば」
始は悪どく笑んでいる。
「これはこれは傑作ですね」
医師も麗華にニヤけている。
「あの麗華がいい姿なもんだ」
担任も口元で微笑んでいた。
好きでここまで来たわけではないのに、好きでオナニーなどしていたわけでもないのに、そう思うこと自体が真面目な麗華には言い訳に思えてしまう。例え不本意な自体であろうと、穢れるべきではないと考えていたのだ。
だが、今の麗華はドロドロという有様だ。
「あーあー……」
「どこにも先輩の威厳なんて残ってないよね」
「なんていうか、画像がまわってる時点で色々終わってるし」
「なんたって尻の穴まで見れちゃうからね」
部員達も口々に麗華を貶め、蔑むような眼差しを投げていた。今までは尊敬の眼差しを向けてくれていた可愛い後輩達が、一人残らず麗華にいやらしい目を向けているのだ。どこもかしこも見られて精液までかけられて、威厳も何もあったものではない。
「ほーんと、いい姿ですよねぇ」
始の猫なで声に打ちのめされ、麗華は心から実感した。
(みんなも、私は地に堕ちたと思ってる。例えどんなに折れまいとしたって、もう……)
麗華はもう、とっくに威厳のある力強い先輩には戻れなくなっている。強く美麗な黒崎麗華は誰もが憧れていた存在だが、みんなの中からは既にその頃の麗華など消えていることを悟ってしまった。
もっと早く気づいても良かったのかもしれない。
しかし、麗華は意地でも堕ちまいとしていた。初めの検査を思い出し、そのせいで疼く体で自慰行為を我慢し続け、始のマッサージを利用して自分を満足させようとした。そう、満足させようと考えてしまっていた。あれが堕ちていないと言えるのだろうか。そして今の姿である。堕ちていないと言えるのだろうか。言えないのだろう。いくら一人で強がっても、誰にも堕落した先輩としか思ってはもらえない。
「始くん……」
麗華はか細い声を伸ばす。
「はい。なんですか? 先輩」
「どうすれば、出せるの?」
確かめるように、ゆっくりと尋ねる。
「麗華先輩の絶頂シーンが見れたら、出せますかね」
やはり、始はそう答えた。
それしか、もはや望まれてはいないのだ。
「……いいよ。もういい。イってあげる」
そして麗華は――
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