第四十四話 これで俺もバツイチだ
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を申し出るべきでした。そうであれば私は貴女を信じる事が出来た。だが貴女がやった事はいかにも貴族らしい事だった……”
“マリーンドルフ伯爵家には処分は下しません。やり方は間違いましたが貴女が私の味方をすると言った事を評価します。但し、貴女が声をかけた貴族に関しては処分をします。貴女を中心とした政治勢力の誕生を防ぐために財産の半分を没収し国外へ追放します”
あの日、父とともに元帥府に呼ばれて言われた。何も言い返す事が出来なかった……。政治に関心の無い、いや関心を持たない愚かな軍人。私が彼に対して下した評価は全くの誤りだった。むしろ誰よりも政治に強い関心を持っていた、その恐ろしさも理解していた……。彼にとっては私など失笑の対象でしかなかっただろう。
マリーンドルフ伯爵家は政治的信頼を失った。権力の恐ろしさを軽視した代償だった。貴族達が復権する様な事が有ればマリーンドルフ伯爵家は間違いなく没落するだろう。それを逃れるにはマリーンドルフ伯爵家は宰相閣下に協力するしかない。彼から宰相秘書官の提示を受けた時、私には断る事は出来なかった……。
彼の決裁を手伝う。捕虜の待遇改善、辺境星域への開発の指示、憲法制定に向けての準備委員会の発足……。そしてブラウンシュバイク、リッテンハイム家への対応……。両家とも子爵の爵位と小規模だが比較的富裕な荘園を三カ所ずつ所有する事になった。そして毎年百万帝国マルクの年金を政府から受け取る……。
所有する領地は決して大きくは無い。しかしこれからは貴族も課税される事を思えば年金として百万帝国マルクを受け取れる事は大きい。領地も比較的富裕な荘園から成り立つのだ。両家とも経済面で困る事は無いだろう。そして政府から年金を受け取るという事は政府に従属する度合いが強まると言う事でもある。
また両家にとっては政府からの優遇の証でもある。両家が反政府活動を行う可能性はかなり低くなるはずだ。反政府活動の象徴として利用される危険性を考えれば二百万帝国マルクの出費は決して高くは無い。後は両家の名前を決めるだけだ。近日中に両家から希望の名前が届くだろう。
午前中は元帥府で仕事を、午後は宰相府で仕事をする。もっとも仕事の内容に軍政の区別は無い、緊急度の高い物が来る。呼び出し音が鳴った、受付からフラウ・ヴァレンシュタインが来ていると連絡が入った。宰相閣下に確認を取ると通すようにと指示が出た。
フラウ・ヴァレンシュタイン、私にはグリューネワルト伯爵夫人の名の方が印象に有る女性だ。先帝陛下の寵姫であったがあの事件により宰相閣下に下賜された。その時、爵位、所領は全て帝国に返上している。かつて皇帝の寵姫として権力の近くに有り、今は帝国宰相夫人として権力の傍に有る。余程に権力と縁の有る女性なのだろう。
夫人が執務室に入って来た。
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