ある約束の戦い (後)
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ら侵攻し続ける。無差別な衝剄によって大気はうねり気流の乱れも尋常ではないがその影響を受けていないかのように静かに空気の隙間を縫うようにアルシェイラに向けて飛んでいく。
「リンテンスの旦那もさすがだな、本当に封殺しちまったぜ」
「ウザッ」
「なんなんさあれ、何であれで同じ様に戦えるんさ?」
さすがの天剣たちにも信じがたい光景だった。
何の細工もないただの衝剄、ただし細工がない分正面から受け止めるのは困難極まりないものを見事に受け止め腕を落されたというのに常と変らぬ鋼糸の技を披露する。
「先生が……」
「ん、そういえばお前旦那の暇つぶしでなんか教えてもらってたな」
「あ、はい。先生から最初に言われたのは全身どこからでも剄を流せるようにってことだったので」
「ってもしかして糸の旦那、錬金鋼は手に復元されるけど足だろうが頭だろうが同じ様に操れるってことなんかさ」
「僕も見たことがあるわけじゃないけど……多分」
その場を覆った空気は一言で言うと『信じられねー』という絶句だった。
(いなされると不味いとは思ってたけどここまでされるとは思ってもなかったわよ)
今は衝剄と鋼糸の打ち合いで一種の小康状態となっている。
(こうなったら無理にでも突っ込んでぶん殴るしかないわね)
覚悟を決めると一気に剄を放出し一瞬だけ鋼糸の波に隙間を作る。
その隙間を一気に踏破しリンテンスへ迫る。次から次へと迫る鋼糸をあるいは衝剄で跳ね除け、あるいはぎりぎりのところでかわすが完全には避け切れず浅い傷を幾つも負ってしまう。
だがリンテンスの鋼糸の海を潜り抜けた結果、この位の怪我で済んだという事自体僥倖というより奇跡的であると言える。何しろ察知できるのは天剣だけ、だがその天剣授受者ですら避け切れるかどうか試してみたいとは思わないのがリンテンスの鋼糸だからだ。
膨大な剄を持つ女王がその剄をふんだんに使いまくった結果ですらこれである。他の者の場合どうなるかは推して知るべきであろう。
衝剄に転化させることなくリンテンスを殴りつける。
届く前に鋼糸の網がブロックし逆に切り刻もうとするのを無理矢理掴む。手の内で暴れる糸に掌を傷つけられるがその痛みは無視し、腕に這い上がろうとする物は衝剄で押しとどめる。
掴んだ鋼糸を引き上げる。嘗てはこのまま引き倒せたがその動きにも柔軟に対応される。
だがそれによって鋼糸の密に若干の偏りが生じ、そこに乾坤一擲の勝負を賭す。
拳がリンテンスを撃つ。
尋常ではない威力が込められた攻撃を受け吹き飛ぶリンテンス。踏み止まろうとすれば首が折れることは必至であるため自らその流れに乗って衝撃を緩和する。飛ばされながら鋼糸を動かし追いかけてき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ