ある約束の戦い (後)
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「自慢にならないけど俺っちじゃあんなのどうしようもないさ」
ただでさえ馬鹿デカイ天剣の剄をはるかに凌駕した女王の衝剄、天剣としては圧倒的に剄量の少ないハイアにとってはどうしようもないとしか思えない攻撃が放たれる。
リンテンスが僅かに角度をつけそらした衝剄が威力を保ったままグレンダンに向かって直進してくる。ハイアにとって小細工で何とかなるレベルを超えた衝剄に対しできるのはありったけの剄をぶつけ少しでも威力を減衰させることだけであり、レイフォンもできる限りは受け止めようと鋼糸の陣を張ろうとする。
準備するのは外力系衝剄の変化、繰弦曲・雪崩崩し。
大抵の攻撃ならばこれで十分に防げるのだが、リンテンスがこの剄技で防ごうとしなかったことを考えるとどこまで通用するかレイフォン自身にもわからない。だがそれでも後ろにいるリーリンや孤児院の弟妹を守るため決死の覚悟で立ち向かおうとする。
だがそれらが必要になることはなかった。目の前に現れた小さな黒い球体、それがすべてを変えた。
外力系衝剄の化錬変化・暗黒天魔。
他者の剄技に対し強烈な引力を発生させる剄技、それは技を放ったのが天剣であろうと女王であろうと変わることはなく、女王の放った衝剄を吸い寄せる。
「バーメリン!」
「ちっ」
トロイアットが叫ぶのと同時にバーメリンが球体に向け真下から最大剄量でもって砲撃を放つ。
それもまた吸い込まれた瞬間、真上に向けてど太い剄の柱が立ち上った。本来であれば吸い込んだ剄を吐き出す向きもトロイアットが自由にすることができるのだが、今回は膨大な女王の剄を余すことなく吸い込まなければならないためそこまで制御の余裕がなかった。それでバーメリンの砲撃によって偏りを作り空へと逃がすようにしたのである。
「ったく、冗談じゃない」
「あんのクソ陛下、ここから撃つぞ」
「あーやめとけ、そんなことしたらこっちに向けて撃ってくるぞ」
悪態をつくバーメリンと返す言葉にも元気のないトロイアット。
「おい、また来そうさ」
『リンテンス様は気付いているようですが陛下は無理みたいです』
「ってことはまた何とかしないといけないですよね」
「次も二人で何とかできれば楽なんだけど、どうさ」
「あんなの連続で出来るわけないだろ、今度はそっちで何とかしてもらいたいね」
次弾が飛来して来そうな状況だが、さすがのトロイアットも女王の剄を防ぐほどの剄技をすぐに使えるほど剄量が回復していない。トロイアットは回復に専念しなければならないのでレイフォンとハイアが覚悟を固める。
だが次に起こったのは超絶の武芸差である彼らにとっても信じがたい光景だった。
エルスマウが察した通りリンテンスは後ろの状況にも気がついて
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