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八条学園怪異譚
第四十三話 白蛇その十

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「あそこのことじゃな」
「そうよ、いいかしら」
「わかった、今出る」
 うわばみの声は茉莉也に答えそうしてだった。
 八十センチ程の大きさの白蛇が薮の中から出て来た、白蛇は鎌首をもたげて三人の前でこう言って来た。
「あの洞じゃな」
「あっ、わかってるの」
「もうなの」
「うむ、察しはついておる」
 そうだとだ、白蛇つまりうわばみは二人の問いにも答えた。
「あそこのことは前から聞いておるしな」
「それじゃあはい」
「まずはね」
 二人はここでそれぞれ背負っていたリュックを前に出して中のものを出した、焼酎とお菓子である。 
 それを出してだ、こう言ったのである。
「はい、お土産ね」
「どうぞ」
「おお、流石じゃな」
 うわばみはその焼酎とつまみを見て楽しそうな声をあげた。
「気が利くのう」
「青木先輩からうわばみさんにお土産を持って行った方がいいって言われて」
「それでなの」
 持って来たというのだ。
「そうしたのよ」
「だから私達は気付かなかったから」
 気が利いているかというとそうではないというのだ。
「ちょっとその辺りはね」
「ちゃんとお話しておくから」
「そこがよいのじゃよ」
 うわばみは白蛇から本来の大蛇の姿に戻って言う、白蛇の時もそうだがアオダイショウである、アオダイショウが白くなるか巨大になるかだ。
「言われて持って来てくれるのがな」
「気が利いてなくても?」
「それでもなの」
「そうじゃ、聞いて何をするかなのじゃよ」
 うわばみは焼酎を見ながらにこにことして二人に語る。
「いや、あんた達はお店の娘さん達だけはあるのう」
「褒めてくれるのね」
「そうしてくれるのね」
「そういうことじゃ、さて」
 ここまで話してだ、うわばみは三人にあらためて言った。
「飲む前にまずはな」
「ええ、洞ね」
 茉莉也は微笑んでうわばみに応えた。
「そこに行ってよね」
「そうじゃ、そうしてな」
「泉かどうか確かめてよね」
「泉であればそれでよし」
 ハッピーエンドだというのだ、そこで。
「なければ次じゃ」
「次は大学に行ってね」
「魔術部の先輩とお会いしてね」
「魔術部となるとあそこじゃな」
 うわばみはここでも知っている感じで言ってくる。
「ダンスホールじゃな」
「ダンスホール?大学にある」
「あそこなの」
「そうじゃ、あそこも怪しいのじゃ」
 泉かも知れない場所だというのだ。
「若し祠が泉でなければそこじゃな」
「ああ、その魔女の先輩はかなり変わった人だけれど」
 茉莉也はその先輩のことを二人に話した。
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