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八条学園怪異譚
第四十三話 白蛇その八

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「それでも今はね」
「かえってその小柄なことがですか」
「いいと思ってるのよ」
「そうなんですか」
「だからあんたもね」
 愛実もだというのだ。
「それを武器にしなさい。それにね」
「それに?」
「愛実ちゃん胸も大きいし」
 今度は愛実のその胸を見ての言葉だった。二学期がはじまったとはいえまだ制服は夏服だ、その夏服からはっきりと形を出している胸を見て言ったのだ。
「その胸もね」
「男の子からですか」
「人気出るわよ」
 このことを確信して言った。
「脚も綺麗だしね」
「ううん、体育の水泳の授業の時は」
「観られてたでしょ」
「かなり」
 じろじろとだと、愛実は今度はこのことを思い出して答えた。
 茉莉也はその愛実から聖花に顔を向けて彼女にも言った。
「それであんたもね」
「私もですか」
「あんたの場合はそのすらりとした感じと」
 茉莉也や愛実に比べて小柄ではない、だがだというのだ。
「それとお尻ね」
「お尻ですか」
「お尻の形いいから、そこね」
「ううん、そうなんですか」
「あんたも脚綺麗ね」
 聖花の脚もいいというのだ。
「二人共いけるわよ、かなりね」
「男の子からですか」
「もてるんですね」
「太鼓判押すわ。これまで何度か言ってるわよね」
 そうしたことにあまり興味のない二人に言ってきたことだ、茉莉也はこの場でもあえて話すのだった。
 そしてだ、こう言うのだった。
「恋愛は青春の、いえ人生を飾る最も素晴らしいものの一つだからね」
「私達もですか」
「それを楽しめっていうんですね」
「経験することね」
 そうしろというのだ。
「いいわね」
「まあそのうち」
「機会があれば」
「気が向けばっていうのね」
「そんな感じでしょうか」
「とりあえず今は他のことばかりですね」
 この泉の捜索だけでなく妖怪や幽霊達との交流といった夜のことだけではない、昼の部活や人間の友人達との交流、それに家の仕事もある。二人の青春は恋愛なしでもかなり充実したものなのである。
 だからだ、二人はここでこう言ったのである。
「それで、なんですけれど」
「今日はですね」
「ええ、そうよ」
 泉の話になった、茉莉也は二人を小学校の体育館の裏に回った。その体育館の裏に入ると懐かしい笑顔になった。
 その笑顔でだ、また二人に話した。
「もうすぐだからね、それでここはね」
「体育館の裏で、何か?」
「何かあったんですか?」
「ここが私のファーストキスの場所なのよ」
 ここでそれを経験したというのだ。
「許嫁の彼とね」
「小学生でファーストキスですか」
「先輩も何か」
「六年生の時にね」
 小学生の何時に経験したのかも話す。
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