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八条学園怪異譚
第四十三話 白蛇その七

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「けれど十メートル以上よ」
「その巨体で隠れることもですか」
「中々難しいっていうんですね」
「保護色使えるけれどね」
 生物の多くにあるものだ。
「後は身体の色を変えることもね」
「ああ、カメレオンみたいに」
「それが出来るんですか」
「そうなの、けれどね」 
 それで、もだというのだった、二人に。
「大きさが大きさだから」
「隠れにくい、ですか」
「結局のところは」
「そう、何につけても大きいからね」
 とにかくそれに尽きた。
「あの人普段は白蛇になってるのよ」
「それで隠れてるんですね」
「小さくなって」
「白蛇の時は大体八十センチ位よ」
 それ位の大きさだというのだ。
「それで凄い細いから」
「目立たないですか」
「隠れられるんですね」
「そう、小さいなら小さいでいいのよ」
 隠れやすいというのだ。
「哺乳類だって最初は小さかったでしょ」
「鼠みたいな動物でしたよね」
 聖花は恐竜の時代に誕生した本当に最初の哺乳類を思い出した、人間もそこからはじまったと言っていい。
「恐竜の卵をかじっていた」
「そうそう、あそこからだから」
「小さかったねすね
「そうなのよ、大きければいいってものじゃないのよ」
 茉莉也はあえて、といった感じで言った。
「私はそう思うわ」
「あの、それってまさか」
「先輩ご自身のことですか?」
「そうよ、私の場合は小さいからね」
 百五十一センチ位のその小柄さ故にというのだ。
「いいのよ」
「婚約者の人からもですか」
「評判がいいんですか」
「そうなのよ」
 このことを話すのだった。
「女の子達からも人気だし」
「そうなんですか」
「女の子達からも」
「そうよ、小柄萌えっていうのね」
 萌えといっても色々だ、メイドや各種制服だけが萌えではないのだ。胸や尻、脚、そして小柄もまた萌えの対象となるのだ。
 それでだ、その小柄な茉莉也はこうも言うのだった。
「愛実ちゃんもね」
「私もですか」
「一五五位よね」
「はい、丁度です」 
 愛実もこう茉莉也に答える。
「ジャストで」
「そうよね、それ位だとね」
「小柄とは言われます」
「大体一五五から下が小柄ね」
「子供の頃はよくからかわれました」
 ここで幼い頃のことも思い出してだ、愛実は一瞬だがその顔を曇らせた。茉莉也はその彼女にこうも問うた。
「じゃあ今は?」
「そういうことはないです」
「そうでしょ、私も子供の頃はね」
「小さいって言われたんですね」
「チビってね、男の子達に言われたわ」
「ですよね、やっぱり」
「私もその時は嫌だったわよ」 
 小さいと言われることがだというのだ、子供は残酷かつ無邪気なもので相手が気にしていることを平気で言ってしまうものだ。
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