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吸血花
第四章
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も」
 二人は応接間を出て赤煉瓦の前に行った。そしてその赤い花のところへ来た。
「この花です」
 花を見る。そして勝手事務官が首をかしげた。
「やっぱりこんな花注文した覚えは無いですねえ」
「やはり」
「はい。それにうちは景観を大事にしますから。赤煉瓦の前に一つだけ置くなんて事はしないんですよ」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。花を植えるとしたら一つの場所に集めて植えます。一つだけ植えるなんて事はしません」
「そうですか。だとすれば雑草ですかね」
「多分そうでしょう。おそらく明日の朝には候補生の人達が清掃で抜いてくれますよ」
「だったら問題ありませんね」
「ええ。後は幹事付の方でやってくれます」
 勝手事務官は安心した顔で言った。彼は早速伊藤二尉に電話をし伊藤二尉の方もそれを了承した。こうして赤い花の話は終わった。かに思われた。
「あれ、赤い花なんて無いよなあ」
 翌日の朝清掃に来た候補生の一人が言った。
「ああ。ダリアに似た花だろ?そんなの無えぞ」
 別の候補生も言った。
「けど報告はどうするよ。無いなんて言ったら話がこんがらがるぜ」
「適当に言っておこうぜ。抜きましたって」
「そうするか。無いものは仕様が無いしな」
 こうして例の赤い花は抜かれ捨てられた事になった。こうして赤い花の話は一先終わり本郷はその日は自衛官達への聞き込みに当たっていた。

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