TURN95 マンシュタイン参戦その五
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「閣下は共有主義については」
「素晴らしい思想だ」
真顔で言う、表情はこれまでとは変わらない。
しかし目の色が妙だ、ガラスの様になっている。
そのガラスの目でこうトリエステに言うのだ。
「誰もが平等とはな、そして今のドクツも」
「ですからレーティア総統は生きておられます」
「その様なことは有り得ない」
トリエステの必死の説得も否定する。
「絶対にだ」
「ですが総統閣下は今枢軸側に」
「それは枢軸の謀略だ」
こう看破する、と思っている。
「前総統閣下は自害された」
「あの、ですが」
「今のドクツ軍はヒムラー総統とカテーリン書記長に忠誠を誓うべきだ」
「ではドクツは」
「ヒムラー総統も共有主義には理解を示しておられる」
少なくともヒムラーはそう見せている。
「ファンシズムと共有主義は共存出来るとな」
「確かに似ているかも知れません」
ファンシズムと共有主義はというのだ。
「どちらも個人独裁ですから、ですが」
「シュテティン提督、何が言いたい」
「閣下は共有主義を誤解しておられます」
こうマンシュタインに言うのである。
「共有主義は自分達以外を否定する思想です、その思想が世界を支配すれば」
「誰もが幸せになれる」
「なれません、ソビエトの様な息苦しい国になるだけです」
「そうはならない、ソビエトでは誰もが幸せに過ごしている」
今のマンシュタインはこう思っているのだ。
「平等にな」
「カテーリン書記長の独裁です」
こうした意味で共有主義もファンシズムなのだ、それでなのだ。
「そうでしかありません」
「シュテティン提督は共有主義をより学ぶべきだな」
あくまでわからないマンシュタインだった。
「赤本を一日一回読んでいるか」
「閣下、ですから」
全く取り付く島もなかった。トリエステは全く変化のないマンシュタインに絶望を感じだしていた。しかしここで。
レーティア達が来た、そのうえでこうトリエステに言ったのだ。
「シュテティン提督、代わってくれるか」
「総統閣下・・・・・・」
「マンシュタインのことは任せてくれ」
こう言ったのである。
「そうしてくれるか」
「お願い出来ますか」
「必ず洗脳を解く」
マンシュタインのそれをだというのだ。
「すぐにな」
「では」
トリエステはドクツの敬礼でレーティアに応えた、そうしてだった。
レーティアはマンシュタインの前に来た、するとすぐにだった。
彼の大柄な身体をいきなり蹴飛ばしてこう言ったのである。
「マンシュタイン、何をやっている!」
「!?」
「御前は何だ!」
「ドクツの軍人だ」
マンシュタインは蹴られながらもびくともしない、だがそれは身体のことで。
心は大きく揺らいだ、レーティア
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