第十九章
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れです。役さんは確か初めてでしたね」
「ええ、まあ」
「運がいいですよ。今日見れるんですから」
役の言葉に対しても笑みで返した。本心から楽しそうである。
「丁度今総員起こし五分前です。もうちょっとしたらここへ全員駆けて来ますよ」
「そうですか。それは楽しみですね」
二人のこの言葉にはいささか社交辞令も入っている。
六時になった。起床ラッパが鳴る。
そして怒濤の様な足音が聞こえて来る。紫の作業服を着た彼等が来た。
「さあ、総短艇ですよ」
伊藤二尉が少年の様な笑みと共に言った。候補生達は必死の形相で短艇に付いていく。
短艇が次々に降りて行く。そして海へ漕ぎ出していく。
「何か凄い光景ですね」
必死の形相をする候補生達と教官。そしてそれを照らす太陽。青い海。全てが対照的であった。
「そうだね。しかしだからこそ綺麗だ」
「ええ」
二人はその光景を静かに見ていた。戦いの後の朝日がやけに眩しかった。
吸血花 完
2003・12・24
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