第十八章
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本郷が言った。彼が海中を捜査している時メアリーが上から攻撃を仕掛けて来たのだ。
「そうよ。よく憶えていてくれたわね」
「忘れるか、だがあの時とは状況が違うぜ」
「フフフ、それはどうかしら」
本郷の言葉をメアリーは嘲笑した。
「この爪の餌食になるのには変わりはないわ。海の中が上に変わっただけ」
「それは最後に言うんだな」
本郷は短刀を投げた。メアリーがそれを蔦で弾き返す。それが戦闘再開の合図だった。
夜の松葉林の下での闘いが始まった。紫の空には黄金色の月がある。その下で激しい死闘が行われているのだった。
「そこねっ」
メアリーの蔦が伸びる。松の木の陰に隠れる本郷を襲う。
本郷は木の陰にいた。メアリーの蔦を避ける為である。
だが蔦は曲がって本郷に襲い掛かってきた。まるで蛇のように。
「何っ!」
本郷はそれを慌ててかわした。蔦は松の木に突き刺さった。
「危ないところだった。まさか曲がるなんてな」
「私の蔦を甘く見ないことね。この蔦は私の意のままに動くのよ」
メアリーは蔦を爪に戻しながら本郷に言った。
「そしてこんな事も出来るわ」
そのすぐ側の松の陰で隙を窺う役を見た。するとその足下から何かが飛び出た。
「ムッ」
役は横に飛び退きそれをかわした。それは棘だった。
「何と・・・・・・」
本郷はそれを見て目を丸くさせた。あまりにも意外な攻撃だった。
「隠れる場所が多ければそれだけ有利に立てると思ったのでしょう。けどそれが裏目に出たわね。花に変化出来る私が木々の中での戦いに弱い筈はないでしょう」
メアリーはそう言って笑った。
「さあ、そろそろいいかしら。ここで貴方達を葬ってあげるわ」
両手を胸のところで交差させた。そして爪が徐々に伸びていく。
その時だった。不意に二人の姿が消えた。
「えっ!?」
メアリーは辺りを見回した。だが彼等の姿は何処にも見えなかった。
「なっ、逃げたか!?」
必死に辺りを探る。だが何処にも気配はしない。
「一体何処に・・・・・・!?」
焦りを覚える。相手には炎もあるのだ。つい先程まで優位に立っていたとはいえ安心は出来ない。
何かが落ちる音がした。後ろだ。振り向き様に蔦を飛ばす。
だがそれは松の枝だった。バサリ、と音を立てて落ちる。
「何っ!?」
枝に目がいった。そこに一瞬だが隙が出来た。
何かが動いた。しかし気配は感じない。
「短刀、それとも拳銃!?」
咄嗟に髪で払った。だがそれは髪を突き抜けた。
「なっ!」
腹に何かが突き刺さった。それは急に浮かび上がってくる。本郷の刀だった。
「馬鹿な、何故・・・・・・」
そう呟いた時腹にもう一本突き刺さった。それは役の炎の剣だった。
「ガハァッ・・・・・・」
メ
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