第十七章
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だ。貴様の心は血に飢え恨みを肥大化させた化け物だ。俺達はその化け物を俺達は討つ」
「・・・・・・黙って聞いていれば好き放題言ってくれるわね」
メアリーは宙に少し浮きながらその髪を動かした。まるで蛇の様にうねる。
「この美しい私を化け物と、醜いと言ってくれるわね」
目が光る。その赤い光が徐々に強まる。
「その言葉、あの世で後悔するのね」
そう言うと髪が総毛立った。将に天を衝く様であった。
「その血、一滴残らず吸い尽くしてあげるわ!」
叫んだ。その目が禍々しい光を放つ。緑の牙が闇を照らす。
髪が伸びた。そしてそれを振り回してきた。
「気をつけろ!髪からも血を吸えるようだ!」
役が叫んだ。本郷がそれに従い身を後ろへ跳ねさせる。
役も後ろへ跳ぶ。そして懐に手を潜り込ませた。
「花に変化しているならこれが効く筈だ」
札を投げた。それはすぐに鳥へ変化した。
「鳥!?」
メアリーがそれを見て言った。
「違うな。式神という。我が国に伝わる陰陽道の術の一つだ」
阿部清明で知られる陰陽道、その中でも最も有名な術の一つがこの式神である。術が込められた札が変化し相手に向かって行くのである。
「そして残念だがそれは鳥ではない」
役は言った。表情を変える事は無かったがその声には笑みがあった。
鳥が赤いものに包まれた。それは炎であった。
「何!?」
炎はそのまま鳥を覆っていく。そして炎の鳥になった。
炎がメアリーを直撃した。流石の女怪もこれには血相を変えた。
「火、火!」
慌てて蔦から緑の液を吹き出して消す。そして役の方を見た。
「まさか火を使うとは・・・・・・」
「驚いたか。だがこれは私の使う術のほんの一部だ」
「何っ!?」
「これを見るがいい」
そう言って右腕を振った。するとその手に何か赤いものが出て来た。
「それは・・・・・・」
それは燃え盛る赤い柱だった。いや、柱ではない。一本の巨大な剣だった。
「炎の剣、貴様もこれは知っていよう」
幼い頃父に聞かされた遠い北の国の話。
神々と巨人達の最後の戦い。その時に炎の巨人の長がその手に持つ伝説の炎の剣である。その名は。
「レーヴァティン・・・・・・」
「あそこまで大それたものではないがな。そうだ、全てを焼き尽くす炎の剣だ」
役は剣を構えながら言った。
「そしてそれを持つのは私だけではない」
見れば本郷の刀も赤くなっていた。だがそれは役のものとは違い刀身を炎が包んでいた。
「これは“気”っていうんだ。武道に伝わる奥義の一つでな」
「気・・・・・・」
メアリーはその名を呟いた。
「そうだ。自分の持つオーラを修業により高め様々な方法に使う。その一つがこれよ」
本郷は燃え盛る刀身を構えながら言った。
「これ
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