暁 〜小説投稿サイト〜
吸血花
第十七章
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だ。貴様の心は血に飢え恨みを肥大化させた化け物だ。俺達はその化け物を俺達は討つ」
「・・・・・・黙って聞いていれば好き放題言ってくれるわね」
 メアリーは宙に少し浮きながらその髪を動かした。まるで蛇の様にうねる。
「この美しい私を化け物と、醜いと言ってくれるわね」
 目が光る。その赤い光が徐々に強まる。
「その言葉、あの世で後悔するのね」
 そう言うと髪が総毛立った。将に天を衝く様であった。
「その血、一滴残らず吸い尽くしてあげるわ!」
 叫んだ。その目が禍々しい光を放つ。緑の牙が闇を照らす。
 髪が伸びた。そしてそれを振り回してきた。
「気をつけろ!髪からも血を吸えるようだ!」
 役が叫んだ。本郷がそれに従い身を後ろへ跳ねさせる。
 役も後ろへ跳ぶ。そして懐に手を潜り込ませた。
「花に変化しているならこれが効く筈だ」
 札を投げた。それはすぐに鳥へ変化した。
「鳥!?」
 メアリーがそれを見て言った。
「違うな。式神という。我が国に伝わる陰陽道の術の一つだ」
 阿部清明で知られる陰陽道、その中でも最も有名な術の一つがこの式神である。術が込められた札が変化し相手に向かって行くのである。
「そして残念だがそれは鳥ではない」
 役は言った。表情を変える事は無かったがその声には笑みがあった。
 鳥が赤いものに包まれた。それは炎であった。
「何!?」
 炎はそのまま鳥を覆っていく。そして炎の鳥になった。
 炎がメアリーを直撃した。流石の女怪もこれには血相を変えた。
「火、火!」
 慌てて蔦から緑の液を吹き出して消す。そして役の方を見た。
「まさか火を使うとは・・・・・・」 
「驚いたか。だがこれは私の使う術のほんの一部だ」
「何っ!?」
「これを見るがいい」
 そう言って右腕を振った。するとその手に何か赤いものが出て来た。
「それは・・・・・・」
 それは燃え盛る赤い柱だった。いや、柱ではない。一本の巨大な剣だった。
「炎の剣、貴様もこれは知っていよう」
 幼い頃父に聞かされた遠い北の国の話。
 神々と巨人達の最後の戦い。その時に炎の巨人の長がその手に持つ伝説の炎の剣である。その名は。
「レーヴァティン・・・・・・」
「あそこまで大それたものではないがな。そうだ、全てを焼き尽くす炎の剣だ」
 役は剣を構えながら言った。
「そしてそれを持つのは私だけではない」
 見れば本郷の刀も赤くなっていた。だがそれは役のものとは違い刀身を炎が包んでいた。
「これは“気”っていうんだ。武道に伝わる奥義の一つでな」
「気・・・・・・」
 メアリーはその名を呟いた。
「そうだ。自分の持つオーラを修業により高め様々な方法に使う。その一つがこれよ」
 本郷は燃え盛る刀身を構えながら言った。
「これ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ