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吸血花
第十七章
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第十七章

 その足で横に滑り左手に持つ刀を払う。その高さはメアリーの首の位置だ。
 だがメアリーはそれを髪の毛で防いだ。何と髪が生物の如く動きメアリーの首の前に出てきてそれを防いだのだ。
「何ィッ!?」
「フフフフフ」
 驚く本郷に対してメアリーは妖艶に笑った。今度こそ貫こうとする。
「させん!」
 だがそれに対して役が銀の弾丸を放った。メアリーは舌打ちすると蔦をその弾丸へ向けた。
 銀の弾丸は退魔の効果がある。だからこそ使っているのだ。一撃で高位の魔物を倒す事も出来る。
 メアリーはそれに対し蔦を途中で切った。鞭の様だった蔦は槍になり弾丸とぶつかった。
 弾丸は蔦を砕いた。だがそれにより地に落ちた。
「そう来るか」
「フフフ」
 表情こそ変えないがメアリーを睨みつける役。本郷はその間に間合いを開いた。
「人に私は倒せないわ。所詮百年程しか生きられないのに最早不死となった私は倒せない。それが解からないようね」
 メアリーは余裕に満ちた笑みを浮かべて言った。
「その言葉は今まで飽きる程聞いているんだがな」
 本郷がその言葉に対して言った。
「俺達は今まで化け物ばかり相手にしてきたんだ。そういった台詞はもうどれだけ聞いたか解からない位だ」
「そうだな。どうも異形の者達の考えは大体同じらしい」
 役もそれに同意して言った。
「人に害を為す魔性の者、この刃でも受けるんだな」
 本郷が短刀を投げた。
「愚かな事。何度やっても同じだというのに」
 メアリーはそう言って笑うと再び姿を消した。
「そう動くのはもう計算のうちだ」
 役が前へ跳んだ。そして先程まで自分がいた場所へ向けて発砲した。
「がはっ」
 その銀の銃弾はメアリーの肩に命中した。
「俺達が人間だからって馬鹿にしているだろ。だからそういう事になるんだよ」
 本郷は肩を押さえるメアリーに対して言った。
「そう。どうやら我々とは身体の能力が違うだけで頭の中は変わらないという事を何故理解出来ないのだろうな」
 役が硝煙を漂わす銃弾を構えながら言った。
「頭の中が、同じ・・・・・・」
 肩に蔦を入れ銃弾を出す。銀を受けその蔦は瘴気を出しながら溶けていくがそれを途中で切った。
「そうだ。大体元々人間なのに当たり前だろう」
「我等人間も魔界の住人もその元は同じ。ならば環境により身体の能力が変わるだけで頭脳は変わらないのが道理」
 二人はメアリーを見据えて言った。
「私が、人と同じ・・・・・・・・・」
 その言葉を受けてかなり狼狽しているようである。
「頭の中はな。だがその心は違う」
 本郷が言った。
「姿や力が違っていても心が正しければ異形の者ではない。だが心が違えば異なる」
 役も言った。
「さっきも言ったが今の貴様は醜い化け物
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