第十六章
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心そのものだ」
「醜いですって!?私とこの花が」
眉を歪めて問うた。
「ああ、醜いな。何故なら貴様の心が醜いからだ」
本郷は吐き捨てる様に言った。
「今の貴様はどう理由をつけようが恨みで変化した血に飢えた化け物だ。恨みを血への欲望の為に理論武装して都合良く言っているだけだ。そんな貴様が美しい筈が無いだろう」
「・・・・・・口上を言うの?」
「口上と思うならそれでもいい。だがな、血に飢えた化け物が美しいとは誰も思わないだろうな」
「そうだな、本郷君の言う通りだ」
役が口を開いた。
「貴様は最早人ではない。人に害なす魔物だ。その魔物を討ち滅ぼすのが我等の仕事。貴様に殺され血を吸われた人達の無念、今ここで晴らす」
そう言って懐から拳銃を取り出した。
「出来るかしら?人に」
メアリーは笑った。宙に浮いた。そしてその高さから二人を見下ろした。
「そうして人を馬鹿に出来るのならやっていろ。死ぬまでな」
本郷はそう言って背中から刀を抜いた。
「じきにそれも終わる」
役が拳銃を構えた。
「そうね。それは本当ね」
メアリーは二人を見下ろして笑いながら言った。
「貴方達はここで死ぬんですものね」
そう言うや否や両手から蔦を伸ばしてきた。
二人はそれを左右に跳んでかわす。そして二人は反撃を開始した。
本郷は懐から短刀を取り出した。そしてそれをメアリーへ向けて投げる。
役は拳銃を発砲した。サイレンサーを取り付けてあるので音は漏れない。
メアリーはそれに対し姿を消した。花びらがその場に散る。
「ムッ!?」
二人は辺りを見回す。気配はする。すぐにでも襲い掛かって来る。
「ここよ」
本郷の後ろから声がした。背中へ蔦を刺そうとする。
だが本郷はそれより速く右へ動いた。武道の動きの一つ、摺り足だ。
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