反董卓の章
第2話 「全部、俺のせいか! くそっ……!」
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今は、打つ手が無い。白蓮が援助を断っている、今の段階では……」
「……うん、そうだね」
きっと、白蓮ちゃんなら断ると思っていた。
ここ梁州から、幽州は遠い。
だから、その援助の輸送にかかる代償を考えれば、それがいかに無理か、私でもわかる。
それでもご主人様は……白蓮ちゃんが援助を請えば、絶対に物資を送ったと思う。
それがわかるからこそ……白蓮ちゃんは断った。
……本当に、私は無力だ。
その方法すら、ご主人様に頼っている。
これじゃあ、あの時と……
全てを放棄して、ご主人様に任せていた時と変わらない。
「……わかりました。ご主人様、白蓮ちゃんへの援助はもういいよ」
「!? 桃香……?」
うん……だから。
だから私ができることは……
「白蓮ちゃんは、自分でなんとかするって言ってる。だったら……白蓮ちゃんを信じようよ」
「………………」
……決断すること。
それが例え、非情の選択でも……
私の責任で、それを選ぶこと。
「白蓮ちゃんに負い目があるのは……みんな一緒だからね?」
「!?」
ご主人様が目を見開いて、私を見る。
まるで、自分の心中を鷲掴みにされたような……そんな顔。
「ご主人様一人で……気負わないで」
「と、うか……」
「ご主人様……優しすぎるもん」
そう言って、私は笑う。
もしかしたら……うまく笑えてないかもしれないけど。
それでも私は……笑う。
「……これで、白蓮ちゃんの話はおしまい。ありがと、ご主人様……」
「桃香、君はそれでぃ…………………………………………っ…………わかった」
驚愕したような顔で……そして、次第にそれを抑えこむように、ご主人様は顔を伏せる。
そのまま一礼すると、王座の間から退室した。
そして、王座の間には……私一人になる。
ポタッ…………ポタッ………………
「……めんなさい………ご………さい………………ぱい、れんちゃ……………………」
顔を伏せた私の声が………………広い王座の間に反響して、私の耳に響いた。
―― 関羽 side ――
月明かりが煌々と照らす夜。
私は一人、外壁の上へと足を運んでいた。
漢中の外壁は、現在の拡張計画により、その遥か先には新しい外壁が建造中になっている。
その外壁が完成すれば、この外壁は内壁と呼ばれるようになるだろう。
あとしばらくもすれば、この内壁の上から新しい街並みが見えるようになるのだろう。
「おや?」
不意に、階段を登りきった私の横で声がする。
その階段の先にいたのは……星だった。
「星……なにをしておるのだ?」
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