反董卓の章
第2話 「全部、俺のせいか! くそっ……!」
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…捕らえられたら、俺達の関与が明るみに出る。それは桃香にとって致命傷だ」
「………………」
「中央への圧力……これも無理だ。董卓は前将軍……いや、今は少府だったか。中央に実権は残っているが……并州牧にする動きもある。むしろ、後ろ盾だった霊帝を失ったために、排斥されようとしているんだ。そんな折に皇室の劉虞に対して影響力があるとは……」
「…………そうですか」
雛里ちゃんが項垂れます。
でも……雛里ちゃんならこれぐらいわかっていたはずです。
それでも……それでもご主人様の様子に、少しでも可能性を示してあげたかったのでしょうか?
「烏桓、か……いや、白蓮の手助けをするとも思えないな。元々北方を護る白蓮にとって、烏桓は敵だ。それは向こうにとても同じだろう。どちらかと言えば、劉虞が烏桓と手を結ぶほうが自然……くっ、そうか、そっちの懸念もあるか」
盾二様がさらに頭を抱えました。
そうです……劉虞が公孫賛さんを排斥しようとするなら、烏桓と手を結ぶ方が劉虞にとっても、烏桓にとっても都合がいいのです。
その場合、公孫賛さんは……
「……白蓮に密書を出す。烏桓に気をつけるようにな。あとは…………………………いや、無理か」
何かを考えついたけど、諦めた。
そんな盾二様の様子に、私と雛里ちゃんは顔を見合わせました。
「……朱里、雛里。俺は桃香に話にいく。後は頼んだ……」
そう言って悲壮な表情で立ち上がる盾二様。
本当に……本当に打つ手はないのでしょうか?
―― 劉備 side 王座の間 ――
「……そっか。白蓮ちゃんは断ってきたんだ……」
私が顔を伏せると、ご主人様は神妙に頷いた。
「桃香……援助を断ってきた以上、白蓮に俺達ができることは……」
「………………」
ご主人様の言葉が詰まる。
私は、私宛に来た白蓮ちゃんの書状を見ながら俯く。
「『くんな』って……ひどいよね。まさかこんなにおっきな字で書くこと無いと思うよ……」
「…………白蓮は、桃香が心配なんだよ。桃香なら、無茶をしてでも……全てを投げ打ってでも自分のもとに来ようとしそうだ、ってわかってるんだろうな」
「…………白蓮ちゃん」
白蓮ちゃんが、私のことを考えて無理をしているのは痛いほどわかる。
そんな白蓮ちゃんに、私は……何もしてあげられない。
…………私は、州牧になったとしても、なんて無力なんだろう。
「ご主人様……本当に、本当にもうなにもできないの?」
「………………」
「ご主人様……」
私の言葉に、唇を噛み、目を伏せるご主人様。
その表情を見て……それが叶わないことだと、私にも分かった。
「そっか……」
「…………
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