反董卓の章
第2話 「全部、俺のせいか! くそっ……!」
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きました。
いわく――
『これは劉虞様と私……そして幽州の問題なんだ。桃香や盾二の気持ちはありがたいけど、私がなんとかするよ』
返信の書状にはそう書かれており、その内容が逆に公孫賛さんの立場の危うさを物語っていました。
だからこそ、他領……しかも最近、州牧になったばかりの桃香様を巻き込めない、そう言っているのです。
公孫賛という方に、私や雛里ちゃんはお会いしたことはないのですけど……話しに聞く限りでは、かなり人の良い方のようです。
それだけに、色々抱え込んでしまいそうな印象もあるのですが……
それに……酷な言い方ですが、私としては公孫賛さんが物資の支援を断ってくれたことに、実は安堵しているのです。
なにしろこの梁州……漢中から北平までの距離を考えれば、物資の移送には大変な危険が伴います。
どんなに早い馬を使ったとしても、片道半月はかかる距離。
人より遅い、物資を運んでの移送ともなれば、二ヶ月以上はかかろうというものです。
その間に、賊や各領地の通行手段や、道中の経費など、送る量の十倍近くの経費がかかるでしょう。
そもそも、北平の前に劉虞のいる平原がある以上、その物資を奪われかねないという懸念もあるのですから……
盾二様や桃香様には悪いのですが……そもそもの前提が無理なのです。
距離が……遠すぎます。
「じゅ、盾二様…………あの、よろしいでしょうか?」
?
隣の机にいる雛里ちゃんが声を上げる。
雛里ちゃんの言葉に、苦悶の表情のままで、盾二様も顔を上げた。
「……なんだい?」
「公孫賛さんの件……物資は無理でしょうが、人的支援とか中央への圧力とかの方法はできないでしょうか? もしくは周辺の異民族への依頼とか……」
え?
ひ、雛里ちゃん、正気っ!?
「…………………………」
盾二様も唖然として雛里ちゃんを見ています。
そんなことをすればどうなるか……それがわからない雛里ちゃんでもないはず。
「……どういう意図だ」
「ええと……人的支援は、旅人ということで少しずつ派遣が可能です。中央への圧力は、劉虞の非道の証拠を董卓さんに知らせてはいかがでしょうか?」
「………………」
「北には烏桓族がいます。資金や物資の提供の代わりに、劉虞への攻撃もできるのではないかと……」
雛里ちゃんの提案。
それは、可能性が薄いながらも、現状できる可能性の中では一番高い部類のもの。
でも、その効果は………………残念ながら薄いと思う。
「……ダメだな」
盾二様も首を振る。
当然です……
「まず烏桓は論外。ツテがない。次に、人的支援だ。商人を使っての資金提供、物資支援はできないことじゃない。だが、人となると…
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