反董卓の章
第2話 「全部、俺のせいか! くそっ……!」
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の心遣いだけはありがたく受け取る、との感謝と共に。
その書状を読んだ後、俺は深い悔恨を覚えた。
(すまない、白蓮……たぶん、それは俺のせいだ)
劉虞という人物は知っているが、その性格がどうだったのかは、俺はよく覚えていない。
だが、本来の歴史の公孫?という人物ならば、それなりに知っている。
本来の公孫?は、若いころは野心があり、北方の雄、白馬長史と勇名がありつつも……その晩年の本質は、嫉妬深く、強欲だった。
異民族に対しても苛烈で、確か劉虞が懐柔策として与えた恩賞を略奪すらしていた。
それゆえに劉虞と不仲になって、最終的に劉虞を殺したはず。
この世界の公孫賛……白蓮とはえらい違いだ。
だからこそなのだろう。
歴史を修正するために……おそらくは、劉虞を悪人に仕立てたはず。
その元凶こそ……于吉、あの仙人の仕掛けだろう。
(俺があんなことを言わなければ………………すまん、白蓮)
初めて于吉と会った、あの巴郡での会話。
あれが全ての……俺の罪。
俺は、俺が起こした歴史改変の対価を……白蓮に押し付けたのだ。
(俺はただ……彼女に、名声を得られるようにしたかっただけなのに)
その結果が……これだ。
本来、劉備……桃香が背負うはずだった流浪の日々の代償を、白蓮に味わわせることになるかもしれない。
そのことに……もっと早く気づくべきだった。
(違う……俺は利用したんだ。そこに……その場にいる白蓮の状況を。彼女に……恩を返すだなんてことを免罪符にして)
考えが……足りなかったんだ。
仙人である于吉は……ちゃんと言っていたはずだ。
『歴史の流れが求めるのは、『大本』という本流です。その事象が起これば、演じる役者は誰でもいいのですよ』
「全部、俺のせいか! くそっ……!」
俺は自分の拳を、机に叩きつける。
ぎしっ、と固い樫の机が、軋む音と共に、周囲にいた朱里と雛里が、体を震わせて俺を見た。
「!? ど、どうしたんですか?」
「じゅ、盾二……様?」
あ、いかん……
ここは宰相の執務室だった。
事情の分からない二人と、その周囲にいた簡雍たち文官も、驚いた目で俺を見ている。
「………………なんでもない。すまん」
言えるわけがない。
俺が言った言葉が……白蓮を苦境に立たせているなんて。
その理由が……歴史の修正のためだと。
―― 孔明 side ――
盾二様が苦悶の表情で、手に持つ書状を睨みつけています。
あれは確か……北平にいる、公孫賛という方からの書状のはず。
公孫賛さんは、私達の支援物資や資金の提供も丁重に断って
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