第十三章
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んね」
「ああ。やはり何処かに消え去ったか」
探しているのはあの花である。だが何処にも無い。
「しかし何処かにいる筈だ。奴はこの学校からは出られないのだからな」
「ええ。あの赤煉瓦と関係があるからには」
二人は赤煉瓦の方を見た。
「それにしてのあの赤煉瓦ですけれど」
本郷が歩きながら役に尋ねた。
「確か全部イギリス製でしたよね」
「そう。イギリスで造られて船で運ばれたんだ」
「そう思うとかなり手間が掛かっていますね」
「そうだね。費用も掛かっている筈だ。あの建物は一朝一夕で出来たものじゃない」
「それも歴史ですか。イギリスというのはやはりロイヤル=ネービーを意識してですか」
「うん。戦前の帝国海軍はロイヤル=ネービーを範としていたからね」
「まあ当時のイギリスといえば押しも押されぬ超大国ですからね」
「そう。七つの海を支配する大帝国だったね」
「ロンドンでは随分えらいめに逢いましたけれどね」
「あれは君が悪い。ロンドン塔で白昼に刀を出せば大騒ぎになるに決まっている」
「けれど皆映画撮影だとばかり思ってましたよ」
ちなみに二人はかってイギリスで仕事をしたこともある。塔に出る謎の白い影との戦いである。
「その割には向こうのお巡りさんが団体で血相変えて来てくれたな」
「あれにはびっくりしました。我が国のお巡りさんに匹敵しますね」
「おかげで我々はロンドン市警と京都府警のブラックリストに載っているそうだ」
「残念です。もう少し捜査に理解を示して欲しいです」
「理解して欲しかったら婦警さんに手当たり次第に声をかけるのを止めるんだね」
「あれはごく自然な行為ですよ、ごく自然な」
「ここの隊付の人がぼやいてたぞ。あちこちの女の子に声をかけまくってるって。苦笑していたぞ」
「おかしいなあ。ちゃんと仕事はしているのに」
「それと一緒にやるからだろ。嫌でも目につく。自衛官の人達が親切にしてくれるからといって頭に乗らないように」
「わかりましたよ」
実はほとんど判っていない。
「で、話は戻る。赤煉瓦とあの吸血鬼の関係だが」
「あ、はい、それですよね」
その言葉に本郷も頷いた。
「どう見てもあれは我が国の妖怪や魔人ではないな」
「・・・ですね」
二人の顔が真剣なものになる。
「我が国の吸血鬼は飛頭蛮や鬼位だ。花の化身が血を吸うなど聞いた事も無い」
これは本郷も考えていた事だ。
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