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ヘタリア大帝国
TURN94 ソビエト参戦その十一

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 ドクツ軍副司令官であるトリエステは己の乗艦の艦橋から言った。
「この動きは」
「はい、ドクツ軍の動きですね」
「間違いなく」
 部下達も答える。
「後方には敵はいませんが」
「ですがおそらく」
「いるな」
 トリエステは確信していた、何故なら。
「潜水艦がだ」
「そして側面の艦隊の動き」
「あれは」
「ロンメル元帥か」
 トリエステがよく知っている動きだった。
「そうだな」
「しかもプロイセン殿もおられるのでは?」
 参謀の一人がもう一個の艦隊の動きを見て言う。
「あれは」
「そんな筈はないがな」
 トリエステもプロイセン、それにドイツとオーストリアは病気で公の場に出られないと思っている。無論レーティア達は自害したとだ。
「幾ら何でもな」
「はい、ですが」
「あの動きは」
「正面だ」
 彼等のことも話す。
「あの艦隊の動き、まさか」
「あの水際立った采配は」
「有り得ないです」
「ですがあれだけの動きを出来る方は」
「お一人しか」
「総統閣下か!?」
 トリエステはここで言った。
「有り得ない、生きておられる筈が」
「はい、総統閣下は自害されました」
「宣伝相と共に」
「その筈だ」
 ドクツ、いや連合の誰もが思っていることだ。だが。
 その動きは間違いなかった、レーティアの采配だった。
 そしてその動きで来た敵軍に完全に囲まれてだった。
 ドクツ軍は周囲から攻撃を受けその動きを完全に止めた、それを見てジューコフも苦い顔でこう指示を出した。
「こうなっては仕方がない」
「うん、撤退だね」
 ロシアがそのジューコフに応える。
「こうなったらね」
「はい、シベリアまで撤退し」
「また戦力を再編成してだね」
「攻めましょう」
 こうするしかなかった、頼みのドクツ軍が全滅しては。
 こうしてソビエト軍は撤退した、だがその後詰を務めているリディアの艦隊が田中が率いる潜水艦艦隊に見つかった。
 発見した敵を見逃す田中ではない、それでだった。
「おい、あの潜水艦を攻撃だ」
「はい、敵は一隻でも多くですね」
「倒しておくに限りますからね」
「そうだよ、じゃあいいな」
 田中は自らソナーを見ながらリディアの艦隊をチェックしていた。
 そのうえで彼女の艦隊に昇順を合わせ。
「魚雷発射だ!」
「魚雷発射!」
 命令が復唱されてだった。
 田中の艦隊から魚雷が一斉に放たれる、その魚雷で。
 リディアの乗艦は腹部に魚雷を受けた、まさに直撃だった。
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