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港町の闇
第九章
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た。彼は本郷を取り囲んでその周囲で周る。
「覚悟はいいか」
「覚悟か」 
 それでも本郷は怯んではいなかった。
「覚悟ってのはなあ」
 そして言う。
「俺の辞書にはねえんだよ、そんな言葉」
「戯れ言を」
 アルノルトはその言葉をまた嘲笑った。
「それでは今教えてやろう」
 爪を伸ばしてきた。全てのアルノルトが。そしてそれで本郷を貫こうとする。だが彼はそれより前に上に跳んでいた。
「ムッ!?」
 全てのアルノルトが見上げた。そして彼を追う。だが本郷はそれより前に動いていた。
「これなら・・・・・・」
 彼は空に跳び上がりながら言う。そして下を見た。
「どうだっ!」
 また小刀を放った。今度はさっきのものよりもずっと多い。
「前からくるものならかわすのも簡単だろうが上からならそうはいかないな!」
「チィッ!」
 その通りだった。だからこそアルノルトは呻いたのだ。
 だがそれでも彼は動いた。その身体を一つにしたのだ。
「ムッ!?」
 本郷はそれを見ていぶかしんだ。何をするつもりかと思った。
 だがすぐにわかった。彼は身体を一つにすることで小刀を避けるつもりなのだ。
「そうくるか!」
「そうだ」
 アルノルトは答えた。
「これならばその小刀も当たりはしまい」
「チッ!」
 一つにあったアルノルトは後ろに跳んだ。そして小刀を全てかわしてしまった。
 そして上を見上げていた。本郷は降下しようとしていた。
「そして今攻撃を仕掛けたならどうなるか」
「させるか」
 彼は刀を構えながらそれに対する。
「やれるものならやってみろ!」
「ではやろう」
 アルノルトは言った。そして再び爪を伸ばす。
「これで終わりだな」
 爪が一直線に伸びる。だが本郷は既に刀を構えていた。
「させんっ!」
 空中でその爪を刀で弾いた。そして何とか無事に着地した。
「ふう」
 着地する時に膝を曲げて衝撃を消す。そして立ち上がった。
「何とか無事だったな」
「よくあれをかわしましたね」
 それを見ていた大森巡査が彼に声をかける。
「何、これ位」
 本郷はそれに対して笑みで応えた。
「どうってことありませんよ。いつものことです」
「ほう、いつものことか」
 アルノルトはそれを聞いて目を細めた。
「どうやら思ったよりやるようだな。人間にしては」
「生憎な」
 本郷はそれに返す。
「貴様ごときにやられることはないと言っただろう」
「言葉を変えよう」
 アルノルトはそれを聞いて実際に言葉を変えてきた。
「それは言葉だけだ」
「フン」
 それを聞いてもやはり悪びれてはいなかった。本郷とはそういう男であった。
「それじゃあどうするんだ」
「その口を今度こそ塞いでやる」
 そう言いながら今度は髪
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