第六十一話 デスティニープラン
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タンのかけ間違いを無くす。それの何が間違いだと、誰が間違いだと言えるのか?
「終わらせなくてはならない。これ以上、犠牲を増やさぬためにも――――悲劇を繰り返さない為にも。だからこそ、議長は決断したんだ。戦争と悲劇を永遠に繰り返さない為に」
レイのその言葉を聞き、三人はそれぞれ自分たちの考えを思い描く。三人とも、未だに迷いはあったが世界がこれで本当に救われるなら――――そんな思いが渦巻いていた。
◇
「こ、こんな政策を認めるわけにはいかんぞ……」
ロゴスという自身を傀儡としていた組織が消え去っても未だ自らの席を失ったわけではない大西洋連邦大統領であり、現在名実ともに実質的な連合のリーダーでもあるジョゼフ・コープランドはデュランダルの唱えたデスティニープランを聞き、恐怖していた。
ロゴスに担ぎ上げられていた人物とはいえ、曲がりなりにも地球圏最大の組織のトップであるジョゼフにはこの政策がどれほどの波及を生み出すかを理解していないわけがない。彼はごく一般的な政治能力と自身の保身には長けた人間だ。そんな彼だからこそ、自身の安寧の立場を脅かすであろうこの政策は無視できるものではなかった。
「クッ、ロゴスを滅ぼして満足していれば良かったものを……」
ジョゼフは自身に組織を纏め上げる様な才能が足りないことなど重々承知している。にも拘らず彼が今の立場に就いているのは生まれ、ロゴスの担ぎ上げ、恵まれた幸運、そして自身なりの多大な努力によるものだ。無論、それらはただで手に入れたわけでなく、多くの犠牲を払ってでも得た一つ限りの席。それをあっさりと譲るなど許容出来ようはずもない。
「そんな政策を断じて認めるわけにはいかん」
この政策は上に立つ人間ほど反発が強くなることだろう。殆どの人間は例え自分に才能があると確信するほどの自信家だとしても、それが一番だとは思っている筈もない。絶え間ない努力、そして運。それらによって自身の立場を形成してきたのだ。例えば、医者の子が医者を目指し、向いていないと思いながらも人を一人でも助けたいと思い、親のコネと努力によって医者の立場に立った人間が、この政策によって兵士の方が向いているなどと言われればどうだ?
無論、精神面や環境を考慮しないというわけではないのだろう。だが、それでもこれらの政策を無視できるほどジョゼフは自信家でもなければ楽観的でもない。すぐさま連絡を取り、連合の部隊に命令を発する。
「今すぐアルザッヘル基地に連合艦隊を集結させるんだ!あんな計画を放置するわけにはいかん!和平交渉?向こうからあんなものが提示されたんだぞ!止めん限りは無理に決まっているだろう!私もでる!!とにかくどんな名目でも私の名前を使ってでも構わん――――部隊をかき集めるんだ!!」
彼は焦り
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