第六十一話 デスティニープラン
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する言葉に間違いなどない。少なくとも、レイ自身はそう思っている。
『より多く、より豊かにと、あくなき欲望に限り無く延ばされる手。それが今の私達です。争いの種、問題は、すべてそこにある!だが、それももう、終わりにする時が来ました。終わりに出来る時が。我々はもはや、その全てを、克服する方法を得たのです』
役割を演じることの何が不安なのか。だが、社会を生きる上でそれは必要な事だ。誰しも自分の不得意なことを率先してこなそうなどと思うまい。適材適所――――その言葉がさす通り、己の長けた方向に能力を使っていけばいい。寧ろ何故それを厭うのか?
『全ての答えは、皆が自身の中に、既に持っている――――それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが、繰り返される悲劇を止める、数少ない方法。私は、人類存亡を賭けた一つの防衛策として、デスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!!』
辺り一帯がざわつく。シンやルナマリア、ショーンといった共にミネルバから出てプラント市内で休息を楽しんでいたレイの戦友たちも戸惑いを露わにしていた。
「デスティニープランって……なんだよ、それ?」
「議長……こんなことを本気で」
「でも、プラントには婚姻統制だってあるし、そう考えたら――――」
「何を迷う必要があるんだ?」
困惑している三人を前にレイは冷静な様子を見せながら自身の信じる事を口にする。
「お前たちが、いや――――人類が望んだ『戦争のない世界』の実現、その唯一の方法だろう?」
その言葉に三人は困惑を続けながらも衝撃を受けたような表情となる。レイからしてみれば何故彼らがそこまで悩むのかが分からない。確かに反発や不安もあるだろう。だが、世界は変わらなくてはならない。誰もがロゴスという組織を通してそう思ったはずだ。
「確かにそうかもしれないけど……こんな急に言われても」
「それに、これって本人の意思は考慮されないんじゃ――――」
確かに、おそらくこの政策は本人の意志というものを無視したものとなるのだろう。才能によって定められる世界。例えば人生をかけてスポーツ選手を目指してきた人間に、スポーツの才能はないが文学の才能はある。君は執筆者になった方が良いなどと言われても納得など出来る筈もないだろう。
「確かにそうだろうな。いつの時代でも、変化は必ず反発を生む。それによって不利益を被れば、明確な理由はなくとも、ただ不安から異を唱える者が必ず現れる。議長のおっしゃる通り、無知な我々には、明日を知る術などないからな……だが人はもう、本当に変わらなければならないんだ。でなければ、救われない」
所詮、本人の意志というものも一代限りのものだ。何故なら、それらの政策に対
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