第四十二話 オーベルシュタイン、俺が可愛がってやるぞ
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。権力者が公平である事、私情で動く事は無いと知らしめる事が。特に女性関係は気を付けなければならない、男にとって一番弱いところだからな。
俺はアンネローゼに極めて満足している。浪費家じゃないし権力欲も無い。料理もそこそこ上手だし美人で素直だ。年上なのも悪くない。唯一の欠点は小舅が居る事だな。しかも強力で二人もいる。小姑一人は鬼千匹にむかうと言うがアンネローゼの場合は鬼二千匹、三千匹だな。あとで鬼退治をしないといかん。
皇帝になっても寵姫なんて持つ気にはなれん、アンネローゼ一人でも苦労しているんだ、好んでトラブルを背負う必要は無いさ。男が浮気をするかどうかは女を面倒だと思うかどうかによる。俺は良心的で模範的な夫だと言われなければならん、面倒臭がり屋だったと非難される事が無いようにしないと、小舅が煩いからな……。
帝国暦 488年 9月 15日 オーディン アンネローゼ・ヴァレンシュタイン
「帝国軍最高司令官?」
「ええ、帝国軍三長官の上位者になります。メックリンガー総参謀長が統帥本部総長を兼任し、メルカッツ提督が軍務尚書に就任しました。宇宙艦隊司令長官はそのまま自分が務める様です」
「……」
「それと司令長官、いえ最高司令官は政治改革を行うようです」
「政治改革?」
「ええ、改革派、開明派と呼ばれる人間達を呼び協力を求めました。自らは帝国宰相に就任し彼ら開明派を閣僚に任命して実行する様です」
「そう……」
最高司令官と宰相を兼任、夫が帝国の第一人者になった。皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世が幼少であるからには夫の持つ権力は皇帝に等しいと言って良いのかもしれない……。
「ずっと以前から考えていたようですね、昨日今日考えた事じゃないようです」
「……」
ラインハルトは面白くなさそうな表情をしている、ジークも同様だ。この二人は夫のやる事に反対なのだろうか……。
「貴方達は反対なの?」
「……そうじゃありませんが、……姉上は最高司令官からそういう事を聞いた事がおありですか?」
「いいえ、あの人は家では仕事の話はしないから……」
「そうですか……」
夫は家では仕事の話をしなかった。政治に関しても関心の有るそぶりを見せた事は無い。権力に関しても無関心だった。私に見せていたのは純粋なまでに軍人としての姿だけだ。多分、政治に関心を示す事は危険だと思ったのだろう。少しでも話せばそれが漏れる、そうなれば命が危ういと怖れていた……。リヒテンラーデ侯は夫を殺そうとしたのだ、杞憂とは言えない。
その一方で夫は自分が帝国の第一人者になった時の事を考えていた。いずれは自分がリヒテンラーデ侯を排除して政権を取る、そう思っていたのだろう。リヒテンラーデ侯達に従順に振る舞う姿は擬態だった。油断させ一撃で打ち
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