第四十二話 オーベルシュタイン、俺が可愛がってやるぞ
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
大佐では如何でしょうか」
「良いでしょう、大佐には准将から伝えてください」
「はっ」
期待している、と言うとオーベルシュタインが“はっ”と答えたんだけど顔面をちょっと紅潮させてた。もしかして感激してるのか? 俺はこいつがどういう人間か分かっているけど他の人間は分からない、気味が悪い、陰気とか思って親しく声をかける事は無かったはずだ。冷徹非情じゃなくて周囲から気味悪がられて冷徹非情に徹しようとしていたのかな。だとすると新たな発見だな。顔を紅潮させるオーベルシュタインなんて想像も出来なかった、これからは俺が可愛がってやろう。有能で可愛い感激屋のオーベルシュタインにしてやる。
オーベルシュタインを分艦隊司令官にすると副官が要るが……、キルヒアイスにするか、いや止めておこう。オーベルシュタインを親身に補佐してくれるとは思えん。誰が良いかな、物怖じしない奴で明るい奴が良いだろう、それに性格の素直そうな奴……。
うん、リュッケが居たな、あいつをオーベルシュタインの副官にしてやろう。あいつは副官向きだからな、なかなか良い組み合わせになりそうな感じがする。リュッケにとってもオーベルシュタインの政略家、戦略家としての見識には得るものが有る筈だ。
オーベルシュタインが執務室を出て行くのを見送ってからヴァレリーに席を外してくれと言った。彼女が訝しげな表情をするからアンネローゼに電話するのだと言うと益々妙な顔をした。俺だって女房に電話くらいするぞ、オーディンに戻って来たのに未だ帰ってもいないし連絡も入れていないんだ。夫婦の会話を聞くのは止めてくれ。
アンネローゼに連絡を入れると待つ事無くTV電話のスクリーンにアンネローゼが現れた。
「元気か?」
『はい、貴方は?』
「元気だ、心配はいらない」
俺が答えるとアンネローゼが頷いた。
「ヴェストパーレ男爵夫人、シャフハウゼン子爵夫人から連絡が有ったか?」
『……』
アンネローゼは困った様な表情をしている。連絡が有ったか。
「安心していい、両家には何もしない」
『有難うございます』
アンネローゼがホッとした様な表情を見せた。
「勘違いするな、お前の友人だからじゃない。処分する必要が無いからだ」
『はい』
「二人に私の所に連絡するように伝えてくれ、二人一緒にだ。二度手間は御免だからな」
『分かりました』
「それから、今日も帰れそうにない。こちらの状況はミューゼル少将に聞くと良いだろう」
『はい、そうします。貴方も御無理はなさらないでください』
「分かった、気を付ける」
アンネローゼは変わってなかったな、まあ大丈夫だろうとは思ったがホッとした。権力者の妻になったからといって変わるようなら離婚しなければならん。後はあの二人に釘を刺しておかないと……。電話が終わっ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ